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2024.08.15 10:00

ロシア企業Yandexの自動運転部門が復活、米オースティン拠点で

(C)AVRIDE

今から5年前は、現在よりも多くの企業が自動運転分野に参入していた。その中には、フォードとフォルクスワーゲンから数十億ドルを調達しながらも、技術的な課題とビジネス上の課題に直面して資金が尽きてしまったArgo AI(アルゴAI)のように、すでに閉鎖された企業も多い。

そのような企業の1つに、ロシアが2022年にウクライナへ侵攻した際に力尽きたように見えたロシアの検索エンジン大手ヤンデックスが運営するヤンデックスSDGがある。元々はロシアを拠点とする同社は、一時的に活動を停止したが、企業全体が再編され、自動運転部門はAvrideとして再スタートした。

2020年に設立されたヤンデックスSDGは、ロシアやイスラエル、米国で自動運転車やデリバリーロボットの試験運用を行っていた。同社は米国では、ミシガン州アナーバーにテスト拠点を置き、2020年にラスベガスで開かれたCES(コンシューマー・エレクトロニクス・ショー)ではメディア向けにデモ走行を披露したが、2022年2月にその試みを停止し、多くのスタッフが解雇された。

ヤンデックスは、ロシアで生まれ、多くのオペレーションがロシアで行われていたが、2011年のIPO後はオランダのアムステルダムに本社を置いていた。ウクライナ戦争が始まった後、親会社のヤンデックスは再編のプロセスを開始した。

今年2月にヤンデックスは、ロシア国内と一部の市場のすべてのビジネスを54億ドル(約8500億円)で売却し、母国との関係を断ち切った。これを受け、自動運転部門は正式にAvrideとして始動した。

親会社のヤンデックスは、社名をNebius Groupに改め、アムステルダムに本社を置いているが、Avrideはテキサス州オースティンを拠点に昨年から開発作業を再開している。Avrideはまた、テルアビブ、セルビアのベオグラード、韓国のソウルにもオフィスを構えている。同社は、270人の従業員を抱え、そのうち200人がエンジニアとされる。

ヤンデックスSDGは、2017年に自動運転プログラムを開始した当初、多くの競合と同様にトヨタのプリウスを使用していた。その後、2020年にヒョンデのソナタに移行し、ハードウェアとセンサーの統合でヒョンデモービスと提携していた。現在のテスト車両はヒョンデのIONIQ 5(アイオニック5)で、テキサス州オースティンとソウルでテストを行っている。

Avrideは米国において、自動運転車両を用いた配車サービスや、デリバリーロボットを用いた食料品の配送など、以前と同じビジネスを行っている。ロシアのウクライナ侵攻の前に、アナーバーにあるミシガン大学のキャンパスなどでデリバリーボットのテストを行っていた同社は現在、新たなパートナーを探している。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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