食&酒

2024.08.06 13:30

ビールに「塩」を加えると味が良くなる その理由と歴史

モレッティの他にも、いくつかの会社がビールに塩を入れたり、塩入りビールの実験を行っている。

米デラウェア州ミルトンの醸造所で革新的なビールで知られるDogfish Head(ドッグフィッシュ・ヘッド)は「SeaQuench Ale(シークエンチ・エール)」と呼ばれるビールを製造している。ライムの皮、ブラックライム、そして海塩を使って醸造されるこのセッションサワー(アルコール度数が低く、酸味のあるビール)は、ゴーゼ、ケルシュ(ドイツのケルン地方で伝統的に造られているビール)、ベルリナーヴァイセ(ドイツのベルリンで醸造されている白ビール)といったスタイル(種類)の要素が組み合わされている。

米サウスカロライナ州チャールストン市の郊外にあるWestbrook Brewing Company(ウェストブルック・ブルーイング・カンパニー)には、伝統的なジャーマンスタイルを現代的に解釈した「ゴーゼ」というビールがある。これはコリアンダーと海塩を使って醸造されており、酸味と爽快感が味わえる。

米カリフォルニア州サンディエゴのModern Times Beer(モダンタイムスビール) が醸造している「Fruitlands(フルーツランズ)」は、果実の風味と酸味を引き立てるために塩が使われているサワービールのシリーズだ。

米カリフォルニア州ブーンヴィルのAnderson Valley Brewing Company(アンダーソンバレーブルーイングカンパニー)が醸造する「Briney Melon Gose(ブリニーメロンゴーズ)」などのゴーゼスタイルのビールには海塩が使われ、バランスの取れたさわやかな味わいに仕上がっている。

より大規模な企業でも自社のビールに塩を加える実験を行っている。そのような会社の主力製品のビールに塩を加えることは一般的ではないものの、アンハイザー・ブッシュ(「バドワイザー」ブランドで有名な米大手ビール会社)では、クラフトスタイルや限定販売のビールで、塩入りバリエーションを試みている。

同様に、コンステレーション・ブランズ(米国で「コロナ」ブランドのビールを販売している)は、特にビールに塩やライムを入れることが一般的な市場で、フレーバービール(果物や野菜などの風味をつけたビール)のラインに塩を加えることを試している。

ビールに塩を加えると、甘みのバランスが整い、苦みが抑えられ、口当たりが良くなることによって、ビールの味わいを著しく高めることができる。その歴史的な起源は、古代文明やドイツの伝統的な醸造にあり、現在も多くのクラフトビール醸造所が、特にゴーゼやサワーエールのようなスタイルのビールで、塩入りビールの探求と革新を続けている。また。大手ビール会社でも、塩を加えることがビールを飲む体験にユニークな恩恵をもたらすことを認め、自社のフレーバービールや限定醸造ビールで塩を使う試みを始めている。

というわけで、あなたも冷たいビールをグラスに注ぎ、塩を1つまみ振りかけてみてはいかがだろう?

乾杯!

forbes.com 原文

翻訳=日下部博一

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