海外

2024.08.14 10:30

ロボットに「人工的な好奇心」を与えて革命を起こす米スタートアップ

(写真上中央)Skild AIを設立したディーパク・パタクとアビナヴ・グプタ(C)Skild AI

パタクによると、彼が2017年に発表した好奇心主導型学習に関する論文は、これまでに4000回以上引用されているという。彼はまた、ロボットがGPTのような大規模言語モデル(LLM)から得た文字情報を利用し、それを行動に変換する方法を考案した。
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「我々は、2022年にこれらを1つの一貫したシステムにまとめる方法を考え出した。その概念は、動画や好奇心から学習したり、実際のデータとシミュレーションからの得た知識を組み合わせて学習するといったものだ」とパタクは言う。

スキルドAIは、AIブームによって数十億ドルものVCマネーを獲得したロボット企業との激しい競争に直面している。業界大手のOpenAIは最近、ロボット企業にモデルを提供するためにロボティクス部門を復活させた。他のライバルには、ビリオネアのブレット・アドコックがCEOを務めるヒューマノイド・ロボット企業「Figure AI」や、OpenAIからスピンオフし、ロボット向けChatGPTを開発する「Covariant」が含まれる。Covariantは、これまでに2億ドル(約293億円)以上を調達している。

スキルドAIの共同創業者であるグプタは、同社の強みは大量のデータにアクセスできることだと主張するが、同社のモデルがどれだけのデータで訓練されているかについては明言を避けた。

データがロボットを革新する

カリフォルニア大学バークレー校でロボット工学とオートメーションの教授を務めるケン・ゴールドバーグも、データがロボティクスをスケールさせる鍵であると考えている。しかし、インターネット上ではあまり入手できない特殊なデータを必要とする上、シミュレーションで収集したデータは、必ずしも現実世界で通じるとは限らないと彼は指摘する。
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「ロボティクスにおいて今盛り上がっているのは、大規模言語モデルや大規模視覚言語モデルのように、数十億もの例があるインターネット規模のデータにアクセスできるようにすることだ」とゴールドバーグは言う。これは一筋縄ではいかないタスクだが、スキルドAIは、データ収集技術とシミュレーションから得られる情報を組み合わせることで、この問題に対処しようとしている。

パタクとグプタは、スキルドAIをOpenAIのように基礎モデルを微調整し、その上に様々なユースケースや製品を構築できる企業にしたいと考えている。「それこそが、ロボット業界に革新をもたらす方法だと考えている」とグプタは言う。彼が最終的に目指すのは、ロボット向け汎用人工知能を実現し、人々が物理的に相互作用できるようにすることだという。

スキルドAIの株主であるセコイア・キャピタルのパートナー、ステファニー・ジャンは、次のように語った。「ロボット工学の世界にGPT-3が誕生しようとしている。実現すれば、デジタル・インテリジェンスで見られたような、非常に大きな変化を物理的な世界にもたらすだろう」

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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