カーネギーメロン大学の元教授であるアビナヴ・グプタとディーパク・パタクが2023年5月に設立した同社は、様々なロボットに組み込むことができ、急な斜面を登ったり、行く手を阻むものを乗り越えたり、物を識別して拾い上げたりすることを可能にする「汎用脳」の基礎モデルを構築した。
スキルドAIは米国時間7月9日、ライトスピード・ベンチャーズやソフトバンク、Coatue、ジェフ・ベゾスらが主導し、CRV、フェリシス・ベンチャーズ、メンロー・ベンチャーズ、アマゾン、ジェネラル・カタリストなどが参加したシリーズAラウンドで、3億ドル(約485億円)を調達したと発表した。同社の評価額は15億ドル(約2420億円)とされた。
ライトスピードのパートナーであるラヴィラジ・ジェインは、昨年4月に初めて同社のテストを見て非常に感銘を受けたという。「ロボットは、階段を登ることができた。非常に複雑なタスクにも関わらず、それができたのは本当にすごいことだ」と彼は話す。ライトスピードは、スキルドAIが2023年7月に実施したシードラウンドも主導していた。
驚くべきことに、スキルドAIのモデルを搭載したロボットは、「創発能力」、つまり、教えられていない新たな能力も発揮した。これらの能力は、手から滑り落ちた物体を回収したり、物体を回転させるといった単純なものであることが多いが、モデルが予期せぬタスクをこなす能力を証明するものであり、大規模言語モデルのような高度なAIシステムにおいて見られる傾向がある。
スキルドAIは、テキストや画像、動画の膨大なデータベースを使ってモデルをトレーニングすることでこれを実現した。同社によると、このデータベースの規模はライバルが使用するものより1000倍も大きく、メタのAI研究者だった創業者メンバーが長年の研究で開発・テストしたデータ収集テクニックを組み合わせて構築したという。
1つの方法は、請負業者を雇ってロボットを遠隔操作させ、その動作に関するデータを収集するというものだ。もう1つは、ロボットにランダムなタスクを実行させ、その結果を記録して試行錯誤しながら学習させる方法だ。また、一般公開されている数百万本の動画も学習に使われた。