宇宙

2024.08.03 16:00

縮小する「木星の大赤斑」、小型の嵐の減少が原因か 最新研究で新説

NASAのジュノー探査機が2018年4月1日に撮影した木星の大赤斑(NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS/Gerald Eichstädt/Seán Doran)

「今回の研究は、地球の気象現象に関して説得力のある示唆を与えている」とキーベニーは指摘する。「近くの気象系との相互作用によって、ヒートドームが持続・増幅することが明らかになっている。このことが動機となって今回の研究では、木星でも同様の相互作用が大赤斑を持続させている可能性があるとの仮説を立てた。この仮説の検証において、今回の研究は地球のヒートドームに関する理解にさらなる裏付けを提供している」

ジャガイモ形の衛星

5月、NASAの木星探査機ジュノーから、大赤斑の上空にある衛星アマルテアを捉えた画像が地球に送られてきた。NASAによると、小さなジャガイモ形の衛星アマルテアは直径わずか約170kmで、太陽系で最も赤い天体だという。赤色を帯びているのは、衛星イオからの硫黄による汚染が原因の可能性がある。また、アマルテアは太陽から受ける熱を上回る量の熱を放射している。この熱の発生原因は、衛星の核で生じる誘導電流の可能性がある。
advertisement

NASAのジュノー探査機が2024年3月7日の59回目のフライバイ時に撮影した木星。表面にある大赤斑の上を横切っているミニ衛星のアマルテアが写っている(Image data: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS. Image processing by Gerald Eichstädt)

NASAのジュノー探査機が2024年3月7日の59回目のフライバイ時に撮影した木星。表面にある大赤斑の上を横切っているミニ衛星のアマルテアが写っている(Image data: NASA/JPL-Caltech/SwRI/MSSS. Image processing by Gerald Eichstädt)

だが、アマルテアは12時間足らずで木星を公転しているため、木星の重力によって生じる潮汐応力により、内部で大きな摩擦と熱が発生することに起因する熱である可能性もある。

惑星科学者がこの衛星の探査機画像を見ることができたのは、NASAのガリレオ探査機による撮影が行われた2000年以来24年ぶりだった。ガリレオの画像では、アマルテアに衝突クレーターや丘や谷があることが明らかになった。
SEE
ALSO

サイエンス > 宇宙

思わず見とれる「木星の最新画像」、NASA探査機ジュノー撮影

forbes.com 原文

翻訳=河原稔

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事