宇宙

2024.07.16 11:30

「渦巻銀河の形成」は予想よりも早かった、ウェッブ望遠鏡の観測で判明

地球から見て銀河全体が正面を向いているフェイスオンの渦巻銀河NGC4303の合成画像。ハッブル宇宙望遠鏡(HST)で撮影した画像(右上半分)とジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)の画像(左下)を合成して作成(NASA, ESA, CSA, ESO, STScI, Janice Lee (STScI), Thomas Williams (Oxford), PHANGS Team)

論文の共同執筆者で、ミズーリ大の天文学者のイーチェン・グオは、取材に応じた電子メールで、今回の研究では、CEERSプログラムの観測対象となった空の極めて小さな一領域しか用いていないと説明している。この空の領域は、腕を伸ばして持ったピンの頭と同じくらいの範囲だと、クーンは表現している。
advertisement

空の観測対象領域としては、気が遠くなるほど小さい。したがって、グオが指摘しているように、研究チームがこれほど宇宙の早い時期にある初期の渦巻銀河を確認できたのは、単に運が良かっただけかもしれない。

円盤が銀河を形成する

グオによると、天の川銀河(銀河系)は渦状腕を持つ円盤銀河で、これは「薄い」円盤だ。宇宙初期は円盤が厚かったため、まず厚い円盤が薄い円盤になる必要があったと、これまでは考えられていた。その後に、円盤内で渦状腕が形成されるというわけだ。ところが、今回の研究では、円盤が薄くなるのと渦状腕を形成するのが、宇宙の最初の数十億年間にすべて同時期に進行したことが示唆されると、グオは指摘している。

今回の研究を率いたミズーリ大学物理天文学部の大学院生、ビッキー・クーン(Sam O’Keefe / University of Missouri)

今回の研究を率いたミズーリ大学物理天文学部の大学院生、ビッキー・クーン(Sam O’Keefe / University of Missouri)

今後の展望についてはどうだろうか。

ミズーリ大のチームによる、赤方偏移が大きい渦巻銀河の分析をさらに発展させるために、JWSTによるより大規模でより深い(より遠くを調べる)観測を実施する見込みだと、研究チームは論文に記している。
advertisement

最大の謎は何だろうか。

グオによると、観測される渦巻銀河の割合が、宇宙時間の広い範囲(ビッグバンによる宇宙の誕生から20億年後から最大約70億年後までの間)にわたって驚くほど横ばい状態であることだ。これは、渦巻形成の始まりが、宇宙誕生から20億年後の時代よりもさらに早かったことを意味しているという。

このことは、JWSTを用いていても、宇宙における渦巻銀河の本当の出現についてはまだ調査されていないことを意味すると、グオは説明している。

再考

したがって、銀河形成に関する現在の理解を再考する必要があるかもしれないと、クーンは述べている。



forbes.com 原文

翻訳=河原稔

タグ:

advertisement

ForbesBrandVoice

人気記事