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2024.07.16 14:15

不便な地でも「旅の目的地」に 中山道・奈良井宿に見るローカルラグジュアリー

木曽漆器に盛り付けられた、地元の十数種類の野菜を生かしたサラダ(BYAKU Narai 提供)

旅の目的地となる、地域発「デスティネーションホテル」

鈴木氏は、日本人同士でも地域の魅力をうまく伝えられていない現状に着目し、翻訳者としての役割を果たすことが重要だと語りました。地域の魅力を発掘し、それを訪れる人々に伝えることで、観光需要を喚起し、地域の経済活性化に貢献していきたい、そして、この奈良井宿のプロジェクトを通じて、地域全体が恩恵を受ける形と目指したいといいます。鈴木氏のこれらの夢は、BYAKU Naraiのような、地域のローカルラグジュアリーに光を当て、目的地となるようなデスティネーションホテルとして、BYAKUを日本の地域に展開していくこと。

鈴木氏の取り組みを通じて、地域の人々も自分たちの努力が高く評価されることに自信を持ち始めています。これにより、地域全体が一体となって観光客を迎え入れ、さらに魅力的な地域づくりに貢献しています。

BYAKU Naraiは、地域の歴史と文化に深い敬意を払いながら、モダンな快適さを提供することで、国内外から多くの訪問客を引き付けています。地域との強いエンゲージメントと、顧客一人ひとりに寄り添う姿勢が、この宿泊施設の最大の魅力と言えるでしょう。ローカルラグジュアリーという概念を体現し、地域の文化や伝統を大切にしつつ、新たな体験価値を提供することで、多くの人々に感動を与えています。

開業は、2021年コロナのさなか。さらに開業後すぐに豪雨被害にあい、数百件の予約キャンセルを受けるという困難な船出だったといいます。しかし、振り返れば、豪雨被害からの地域の復旧活動には、スタッフ総出で取り組み、地域とのつながりの大きな機会になったというのです。

さらに、奈良井宿の空き家をさらに複数借り改装し、宿で働くスタッフの寮として使用しているそうです。地域に住み、地域で働く中でつながりを深めて、より地域に根ざした存在になっているといいます。

BYAKU Naraiの成功事例は、地域の文化と現代のニーズを融合させることの重要性を示しており、他の地域にもこのモデルケースが広がっていくことを期待しています。

月の灯りに照らされる夜の奈良井宿、BYAKU Narai(筆者撮影)

月の灯りに照らされる夜の奈良井宿、BYAKU Narai(筆者撮影)

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