IGアリーナの事業において、スポーツ・エンタメの観点から主導するのはNTTドコモだ。東京五輪でも活用された有明アリーナをはじめとして、25年4月開業の「ジーライオンアリーナ神戸」の運営にもNTTグループは関与している。
期せずして、プロバスケットボールBリーグは、設定基準を満たしたアリーナで試合開催の条件を付帯させた「Bリーグ改革」を推進し、2026年をターゲットに据えている。その動向に呼応するかのようなビジネス展開を進めるNTTドコモは、スポーツ・エンタメの観点において、このアリーナ改革をどのように導いて行くのか。その戦略について舵取りをするNTTドコモの櫻井稚子執行役員に聞いた。
スポーツxエンタメビジネスの可能性
──世の中では「携帯電話会社」という見方が強いNTTドコモが、そもそもスポーツとエンタメ領域の乗り出した意図は、なんでしょうか。ドコモの土台は通信であり、日本を支える大切なインフラと捉えています。その上でドコモらしさを持つサービスを加えることにより世の中から必要とされる企業であり続けるという点が非常に重要です。一方で、日本と世界における、スポーツとエンタメの領域の差は様々な面でまだまだ存在すると痛感します。アリーナビジネスが経済政策における注力領域の一つとされている中、スポーツとエンタメは、まだまだデジタルを活用した成長の余地が残されていると捉えています。
デジタル・マーケティングやICTソリューションの活用、映像配信などをフル活用し、日本のスポーツあるいはエンターテインメントをより多くの方に、ドコモらしい新しい形で届けて参りたいと考えております。エンタメコンテンツは日本の誇るべき文化の一つであり、その発展に関われる事を大変嬉しく思っております。
──ドコモがスポーツおよびエンターテインメント領域に取り組む契機は、何があったのでしょうか。
今となっては、ドコモの持つ多方面の領域に渡るアセットをビジネス展開できるからと考えていますが、アリーナビジネスをスタートした2018年当時は、最新技術である5Gの事業展開を図るにあたり、弊社のアセットを恒久的に展開できるリアルな場所を持つことが非常に有効であると考えました。
それまで、自治体が所有する体育館でバスケットボールのAIデータ・トラッキングにチャレンジするなどの紆余曲折がありましたが、有明アリーナのビジネス参入検討を始め、実際にコンソーシアムとして運営権を取得。現在のアリーナやスタジアムでの展開につながっています。