マイクロソフト流メタバースの3軸とは 日本で産業用はここまで進化していた!

マイクロソフトの産業用メタバースが広がりを見せている

マイクロソフトと聞き「Windows」と答える方はいまでも多いだろうか。そうだとしたら、すでに時代に置き去りにされているかもしれない。

コンピューティング・プラットフォームの歴史を振り返ると、大型メインフレームからパーソナル・コンピューターに移行した時代、マイクロソフトはオペレーション・システムWindowsにより世界を席巻し、世界一のソフトウェア会社へと成長した。しかし次のスマートフォンの時代では、Windows Mobile、Windows Phoneは、iPhoneのような市民権を得るに至らず終いだった。

だが、メタバースの時代が刻一刻と近づいているいま、同社はすでにあなたの知らない領域で世界を変えつつあるようだ。

「MIXED REALITY」3つの世界観


メタバースの定義は十人十色とされるが、同社はXRを活用したメタバースを「MIXED REALITY(MR)」と定義付けている。

MRは、物理世界とデジタル世界を融合させ、ユーザーが物理世界に存在しながら、物理およびデジタル双方のオブジェクトとやり取りができる世界観。「現実世界の要素をデジタルで表現したもの=メタバース」だとするなら、同社はパソコン、スマホと移り変わったコンピューティング・プラットフォームの次世代は、MRが変えて行くと考えている。それがマイクロソフトのメタバースだ。

マイクロソフトは、このMRを次の3つの領域で具現化を進めている。

1. コンシューマー向けエンターテインメントおよびゲーム

2. コマーシャル向けコラボレーションおよびハイブリッドワーク

3. インダストリアル・メタバース

1つ目は他の事業会社もこれまで具現化してきたため、想像は容易だろう。スティーブン・スピルバーグの映画『Ready Player One』のようにメタバースとゲームは、あらかじめ親和性が高いと見られており、同社に置き換えればこの世界はゲーム機XboxとセンサーKinect、スマートグラスの一種であるHoloLensによりいち早く具現化がスタートしていた。この取り組みはゲームというエンターテインメント領域からさらにウェルビーイングに及ぶまで、拡張も進んでいる。

2つ目は、リモートワークなどで活用されているTeamsの発展型。現在のTeamsが3Dへと進化するとすれば、その流れは自然であり、かつ想像が容易だろう。

参加者すべてが没入感たっぷりのメタバースへとジャックインするのではなく、同社はTeamsを介しつつ現実の物理的空間、たとえば会議室に、ある人はリアルに物理的に参加し、ある人はHoloLensを介しホログラム的に参加、ある人はVRでアバターとして参加、だがある人は2DのPCから参加……というように、あらゆる手法により物理世界とデジタル世界をつなげ、ハイブリッドワークをサポートする。



時代の流れを考えれば、全メンバーが同じデバイスをすべてそろえ、全員が没入型のメタバースへとトランザクションするシナリオよりも、より現実的であり近未来的な既視感さえ覚える。
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文=松永裕司

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