暗号資産

2024.07.09 11:30

次のAI関連銘柄と注目される「暗号資産マイニング企業」

Shutterstock.com

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高性能のコンピューティング機器を所有する暗号資産のマイニング事業者らは、先進的な設備と低コストの電力へのアクセスを利用し、急成長する人工知能(AI)セクターに参入している。コンピューティングの需要が急増する中、これらの企業は、AIブームから利益を得るための独自のポジションを取っている。

AIブームで注目の的となっているのは、エヌビディアの半導体やOpenAIのChatGPTだが、その陰で、生成AIモデルを訓練し、運用するデータセンターの需要が急拡大している。高性能コンピューティング(HPC)のデータセンターをゼロから構築するには通常3〜5年が必要で、電力網への接続待ち時間は、最大6年に及ぶとされている。そんな中、安価な電力をテキサス州やノースダコタ州などで確保しているマイニング企業が高く評価されている。

ビットコインのマイニング企業、Core Scientific(コア・サイエンティフィック)は米国時間6月4日、AI向けインフラ開発企業のCoreWeave(コアウィーブ)と12年間にわたる長期契約を結んだと発表した。コアウィーブは、オースティンを拠点とするコア・サイエンティフィックのデータセンターの使用料として年間2億9000万ドル(約465億円)を12年間支払い、支払い額の合計は35億ドル(約5440億円)を超えると推定されている。

これを受け、ナスダックに上場するコア・サイエンティフィックの株価は、直近の1カ月で約30%上昇し、一部の投資家は、同社がAI分野の「シャベルとつるはし(Picks and Shovels)」になると考えている。コア・サイエンティフィックは、今年1月に破産からの脱却を宣言し、今では北米最大のマイニング事業者の1つだ。

JPモルガンは、6月にコア・サイエンティフィックがコアウィーブとの契約を発表して以降、米国に上場するビットコインマイナー14社の時価総額の合計が22%急上昇したと試算した。

H.C.ウェインライトのケビン・デデは、「ビットコインの純粋主義者は『マイニングのためのデータセンターにAIマシンをホスティングすることはできない』と反発するだろう。しかし、アマゾンのAWSやグーグル・クラウドなどの企業とは違い、巨大なデータセンターをそれほど求めない小規模なAIプレーヤーは、ビットコインマイナーが慣れ親しんでいるサービスレベルとうまく統合できるかもしれない」と述べている。

ここでは、AIブームから利益を得ようとしている他のいくつかのマイニング事業者を紹介する。

アイリス・エナジー(IREN)

オーストラリアを拠点としナスダックに上場するIris Energy(アイリス・エナジー)は、AI分野に眠るチャンスを最も早く認識したマイニング企業の一つとされている。JPモルガンは、同社がこの分野で最も有利な位置にあると述べている。アイリス・エナジーは最近、AI分野で最も強力なチップとされるエヌビディアのH100 GPUを816基購入した。

HUT 8

マイアミを拠点とするマイニング事業者のHut 8は先月、次世代AIインフラの構築に向けてベンチャーキャピタルのコーチュー・マネジメントから1億5000万ドル(約240億円)の戦略的投資を受けると発表した。コーチューは、コアウィーブにも出資している。

「当社は、長期的に成長し続けるためにAIセクター内でよく名の知れたパートナーと協力したいと考えており、多くの相手と会話を進めている」とHut 8のCEO、アッシャー・ジェヌートは語った。

投資銀行のベンチマークカンパニーでアナリストを務めるマーク・パーマーは、「Hut 8はエネルギーアセットやデータセンター向けの新設サイトを比較的迅速かつ低コストで立ち上げる能力を実証している」と述べていた。
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編集=上田裕資

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