暗号資産

2024.07.09 11:30

次のAI関連銘柄と注目される「暗号資産マイニング企業」

アプライド・デジタル

HPCデータセンターの構築に、最初に乗り出したマイニング事業者の1社であるApplied Digital(アプライド・デジタル)は最近、匿名の米国のAI向けインフラ企業と400メガワットのリースに関する意向書に署名した。

H.C.ウェインライトのデデは、アプライド・デジタルが持つノースダコタ州の施設が、マイニングとHPCの取り組みのバランスを取ろうとする興味深い事例だと述べている。この施設は、通常時はAI向けの高性能コンピューティングを行い、余剰電力がある場合にビットコインのマイニングを行っている。

「多くの人々は、主に電力に注目しているが、マイニング事業者がビジネスをHPCに移行するためには他にも重要な要素がある」とアプライド・デジタルのCEOのウェス・カミンズは述べている。彼は、重要な電子機器の納期の待ち時間が2.5年以上に及ぶことや、大規模なデータセンターの経験を持つ人材の獲得が難しいことを指摘した。「当社は、将来的にHPCインフラ企業を目指している」とカミンズは語った。

投資銀行ニーダムのアナリストであるジョン・トダロは、アプライド・デジタルをHPCとAI分野の最注目企業とし、IRENやコア・サイエンティフィック、TeraWulf(テラウルフ)、Bitdeer(ビットディア)、Hut 8、Bit Digital(ビットデジタル)、HIVE Digital Technologies(ハイブデジタルテクノロジー)にも注目している。

「安定した収益」を得る機会

AI向けのデータセンターインフラを構築するための費用は、メガワットあたり1000万ドル(約16億円)以上になる可能性がある一方で、ビットコインのマイニング施設のメガワットあたりの費用は30万ドル(約4800万円)から50万ドル(約8000万円)程度だと、H.C.ウェインライトのアナリストは述べている。「市場は通常、AIに関するものには良好な反応を示すが、これらは非常に資本集約型のビルドだ」と彼は指摘した。

それでも、利用可能なインフラと電力容量を持つ者にとって、AIオペレーションへのシフトは潜在的に魅力的な利益を提供する。マイナーは、変動が激しいビットコインからの収益を、AIコンピューティングからのより安定した収益に置き換えられる。このシフトはまた、マイナーが新たなマイニング機器を購入するための収益を増やすためにも役立つと、モルガン・スタンレーは4月の報告書で述べていた。

「AI企業のビジネスモデルは強力で、彼らは必要な電力に対して、より多くの支払いをすることが可能だ。ビットコインのマイニング事業のみに頼っていると、価格の変動が激しくリスクが高い」とH.C.ウェインライトのデデは述べている。

多くのマイニング事業者にとって、高性能コンピューティング市場の一部を手に入れることは見逃せない機会だ。

「マイナーが完全にビジネスを再編成するというわけではない」と、マイニングのコンサルティング企業、Sabre56のCEOであるフィル・ハーヴェイは述べている。

「彼らはすでに多くの資金や労力を投入しており、そのうちのいくつかのサイトは暗号資産にしか適していない。しかし、そのインフラを他のビジネスに利用しないのは愚かだ。高性能コンピューティングやAIに投資したいと考えている投資家は多く、この分野には新たな資金が流れ込んでいる」と彼は語った。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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