何万本も有する富裕層からの出品も
もちろん極端な高額ワインだけでなく、さまざまなオークションの楽しみ方がある。例えば堀氏におすすめしてもらった注目ロットが、Lot 95~150の「B氏のコレクション」。首都圏で複数のワインレストランを経営するオーナー・シェフの個人所蔵品だ。「比較的購入しやすい価格帯のブルゴーニュワインがまとまった本数で出品されているので、愛好家の方はもちろん、ワインショップやレストランのワイン仕入れ担当にもおすすめできます」。
このようにTOP LOTオークションには、「A氏コレクション」「B氏コレクション」などワインを何万本も有する富裕層からの出品も多い。デパートの外商で買い物をするような富裕層には、高級ワインの割り当てがあり、それら正規品が出品されることもある。今回最高額で落札されたドメーヌ・ルロワも個人愛好家からの出品だった。
一方、ドイツやロワールなどあまり日本で人気のない産地のワインは、出品数も少ないが、競争が少ない分、安価に落札できるという側面もある。オークションは情報戦。しっかりと下調べして臨めば、目当てのワインを落札できる可能性も高い。
オークションへの参加方法はいたって簡単だ。現在はウェブやアプリによるLive Bidからの参加が多く、Live Bid8割、会場参加12%、書面8%、わずかに電話入札という割合だという。最近では、ワイン愛好家やレストラン・ワインショップに加え、おそらく転売目的か、中国など海外からの落札者も増えているという。
筆者もライブビッドから競りの様子を覗いていたのだが、「〇円、ライブビッド! 〇円、会場の方! ほかに宜しいですか?!」と小気味よいオークショニアの掛け声に、思わず血が騒いだ。
会場では、予算を設定して予算の範囲内で冷静にビッドする人、勝負心の赴くままに熱い戦いを繰り広げる人、参加の姿勢もさまざまだ。出品ワインのカタログやアプリを眺めているだけでも、産地や生産者の勉強になる。個人的にはワインの転売目的としての利用はあまりしてほしくないが、ワインの楽しみを広げる手段として、ワインオークションを賢く利用するのも一手かもしれない。