「DRCより高いワイン」とは?
これまでの同社での過去最高落札額は、2022年6月期に落札されたアンリ・ジャイエのヴォーヌ ロマネ プルミエ クリュ クロ パラントゥ1987(マグナムボトル)で529万円(手数料込)だった。それを大幅に更新し、今回、落札予想価格400万円~700 万円に対し713万円(手数料込)で落札されたのが、ドメーヌ・ルロワのミュジニー2015年。英国の価格検索サイトWine-Searcherが発表する「世界で最も高価なワインリスト」でこの数年トップに君臨する、極めて希少なワインだ。ドメーヌ・ルロワはDRCの共同経営者であったラルー・ビーズ・ルロワ氏(通称マダム・ルロワ)が1988年に興したブルゴーニュの小規模ドメーヌだ。天才的なテイスティング能力を持つ彼女が、ビオディナミ農法でごく少量生産で造るクラフト・ワインは、DRCをしのぐ高値で取引される。特に2015年は、ロバート・パーカーが立ち上げたワイン・アドヴォケイト誌の評価100点を獲得した良年で、市場に出回ることが世界的に見ても稀だという。まさにその姿を拝めたら奇跡の「ユニコーン・ワイン」なのだ。
そのほかにも、激しい競りが展開されたのが、DRCやボルドー5大シャトーといった人気ワイン。「ブルゴーニュの神様」の異名を持つ伝説的存在アンリ・ジャイエのクロ・パラントゥ1989(マグナム)は322万円、DRCのロマネ・コンティ2017は299万円。ほかにもドメーヌ・ルフレーヴのモンラッシェ2005年が201万2500円、ド―ヴネのシュヴァリエ・モンラッシェ2002年が195万5000円、ジョルジュ・ルーミエのミュジニー2007年が143万7500円など、人気生産者が高額で競り落とされた。ボルドーだと、シャトー・ペトリュス2016年で110万4000円、1982年で55万2000円。シュヴァル・ブラン1999年で41万4000円などが高値で落札された。
ヴィンテージの違いによっても落札価格の差が大きい。例えば今回のドメーヌ・ルロワは、2015年が713万円に対し2012年は460万円と、300万円近くの差がついた。
「ブルゴーニュだと2005年、2009年、 2010年、 2015年、 2019年、 2020年。ボルドーの飲み頃のものだと、 2000年、 2003年、 2005年などはすごくいいヴィンテージ」と堀氏は薦める。もちろんオフヴィンテージでも、自分の好みの年を把握していれば、それだけ安価に落札できるメリットもある。