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2024.07.16 15:15

【特別取材】ストレスは分類せよ! 『最適脳』著者に聞いた「自己脳制御」術

ストレスを感じた時──書き出す、分類する、ネガティブ・パターンを破る

ストレスを書き出す。頭で考えているだけでなく、紙やホワイトボードに書き出すことで可視化され、自分の中で明確になる。やらなければいけないことが少しでも多くなりすぎるとストレスを感じ始めるというパターンに気づくだろう。

Getty Images / Eerik

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そこからさらにストレスを分類していく。この方法も『最適脳』で詳しく説明されているが、ストレスを徹底的に洗い出して、次の3つのカテゴリーに分ける。

1.すぐに人生から消せるストレス(嫌な気分になる人間関係、スマホのアプリ通知、自分が責任をもたなくていいことなど)

2. 解決できるストレス(ストレスにならない程度に収めて共存できるもの。パートナーとの意見の食い違い、ネガティブな視点、自己批判など)

3.どうしていいかわからないストレス(しかし問題の99%には解決策が存在する。具体的に解決するか、見方を変えることで問題ではなくなる)

 ・ネガティブな思考パターンを破る。深呼吸、言葉遊び、まったく関係ないことをするなどして、いつもの思考パターンに陥った状態から脱出する。ストレスというのは多くの場合、実際に起きたことよりも自分の考え方が原因。ストレスは自分の外ではなく内側に存在するという事実を認識しておくように。

出張中に気をつけていること

ホテルの部屋では、明るさと温度を調節。質の良い睡眠のために気をつけているのは、ホテルの部屋に入ったらカーテンを閉める、そして部屋の温度を下げる。寝る時の室温は涼しいくらいがちょうど良い。

Getty Images / blackred
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スケジュールが許す限り毎日朝運動する。ホテルのジムで汗を流す、周辺をジョギングなど。

時差ボケ対策をする。身体のリズムを左右するのは睡眠だけでなく、食事時間や太陽にあたる時間もだ。出張は現地滞在が3、4日程度なので、あえて現地の時間に適応せずに帰るようにするが、そのためになるべく母国と同じ時間に食事や運動をしている。

眠れない時は温かいシャワーを浴びる。仕事は絶対にせず、ベッドで退屈な本を読む(研究論文など)。

夕食はなるべく早い時間に食べる。これは普段から心がけていて、14時間断食になるようにしている。

帰宅時には疲れていても家族と過ごす。独りで引きこもらないのが大切。

『最適脳』では上記以外にも様々なテクニックを「ツール」と呼び、詳しく解説していく。頑張りすぎてやる気が出なくなってしまった人、自己啓発本を読み漁ってあらゆるテクニックを試してきた人など、今どんなレベルにいる人でも必要なツールが必ずみつかる。ビジネスマン、そして家族友人として優秀でありたければ、心の健康やバランスは欠かせない。

自分の現状を把握し、6つの脳内物質をどのようにコントロールしていきたいかをマッピングすることで、世界レベルのセルフ・コーチングを身に着けられる一冊だ。

 『最適脳:6つの脳内物質で人生を変える』 (デヴィッド・JP・フィリップス著、 久山葉子訳、新潮新書)

『最適脳:6つの脳内物質で人生を変える』 (デヴィッド・JP・フィリップス著、 久山葉子訳、新潮新書)




久山葉子(くやまようこ)◎スウェーデン語文学翻訳者、エッセイスト。 高校時代に1年間AFSでスウェーデンに留学。東京のスウェーデン大使館商務部勤務を経て、2010年に日本人家族3人でスウェーデンに移住。現地の高校で日本語を12年間教えた。著書に『スウェーデンの保育園に待機児童はいない』、訳書に『スマホ脳』『サルと哲学者』『メンタル脳』『最適脳』『にゃんこパワー』など多数 。

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