さらに、日系米人ショーン・ミヤシロがアジアのカルチャーや日中韓のアーティストを世界に発信しようと立ち上げた制作事務所「88rising」は、コーチェラ主催のゴールデンボイス社からサブステージの編成枠を獲得。22年からアジア系アーティストの露出を増やしはじめ、今年5月には「YOASOBI」や「新しい学校のリーダーズ」の出演を実現させた。さらに、88risingはロサンゼルスやニューヨークで「ヘッド・イン・ザ・クラウド」フェスも主催。アジア系R&B、ロック、ヒップホップ・アーティストの海外進出を促進している。
海外進出しやすいバックグラウンドとは
最近では、世界3大レーベルである、ソニー、ユニバーサル、ワーナーミュージックが揃って、出身国や人種、文化などあらゆるバックグラウンドを持つアーティストが多いタイに着目。「K-POPの次はT-POPか」と話題になっている。例えば、タイの人気BLドラマで劇中歌などを手掛ける、歌手のジェフ・サターは、父親がタイ、イタリア、インドの血を引き、母親はタイと中国のミックスである。端正なルックスにより映画、テレビ俳優、T-POPスターとして活躍しているが、ブラジルでのアジアフェスにもヘッドライナーとして招聘され、世界的ブレイクが期待されている。
世界でブレイクする方程式
世界でブレイクするためのメジャーレーベルの戦略がある。それはアジアでヒット曲をだしたアーティストを、アジア系移民も多く親和性の高い国ブラジルやペルーを中心とした南米市場に売り出すのだ。もし南米のヒットチャートの上位に食い込めば、ヒスパニック系人口が3割を越える米国市場から注目され、ロサンゼルスやニューヨークに本拠を置く大手レーベルへのルートも構築できる。最初から米国市場での成功を狙うと、宣伝広告費も膨大化するが、アジア、南米を経て世界でブレイクする方程式は合理的だ。こういった戦略的な売り方ではなく、実力で世界市場を狙えるJ-POPアーティストは存在するのだろうか。最も可能性が高いのは女性7人組の「XG」だと考える。シアトル生まれの日韓ハーフで自らもJAKOPSとしてK-POPアーティスト活動をしていた「サイモン」がプロデュースを手掛け、合計で7年におよぶ韓国での英語、韓国語、歌唱、ダンスの徹底したトレーニングを実施。3国語で会話、歌唱も出来る初のJ-POPグループとして成功が期待できる。22年3月にシングル曲「Tippy Toss」をリリースすると、TikTok経由などで北米を中心とした全世界のZ世代に驚異的に広がり話題となった。