音楽

2024.02.22

テイラー・スウィフトがアメリカの未来を動かす!? 計り知れない影響力とは

テイラー・スウィフトの5年ぶりのツアー「The Eras Tour(エラズ・ツアー)」日本公演が今月7日から4日連続、東京ドームで行われた。日本での経済効果は、チケット、ツアーマーチャン、ファンの旅費、宿泊費をあわせると341億円を記録した(毎日新聞など)。

最終公演直後にはプライベートジェットでラスベガスに直行。交際相手である米国プロフットボール(NFL)カンサスシティー・チーフス所属のトラビス・ケルシー選手が出場する米国最大のスポーツイベント「スーパーボウル」を観戦した。彼女の動向は、世界中のファンのみならずNFLファンからも注目を浴び、試合中継放送でも観戦中の姿が頻繁に放映され、チーフス優勝直後にフィールドで抱擁する二人の姿は世界で1億2400万人が視聴。1969年のアポロ11号月面着陸中継の視聴者記録に迫る勢いであった。今や彼女の言動が経済を動かし、エンターテイメントにとどまらずアメリカ合衆国の未来を左右する域に達しているのである。

テイラーは、2010年代にカントリー・ウエスタンからポップスに楽曲のスタイルを移行して以来、着実にキャリアを積み上げ、今月5日にはアーティストに授与されるグラミー賞の中で最高位である「アルバム・オブ・ザ・イヤー」を受賞。史上最多となる4度目の受賞で、過去に3回受賞したフランク・シナトラ、スティービー・ワンダー、ポール・サイモンの記録を塗り替え、世界的大スターの地位を確保した。

(Photo by Buda Mendes/TAS23/Getty Images for TAS Rights Management )

(Photo by Buda Mendes/TAS23/Getty Images for TAS Rights Management )

幅広い層のファン

彼女の人気は前例のないレベルに達している。Mornig Cosult社による2023年3月の調査では、アメリカ人の53%がテイラー・ファン、16%が熱狂的ファンと自負していたが、これはツアー開始前の統計であることから、現在のファン比率は更に拡大していると考えられる。

NPS(Net Promoter Score)は、友人に商品やブランドを推薦するレベルを−100から+100で数値評価する指数だが、テイラーは68ポイントを獲得していて、Apple、COSTCO、Ritz-Carlton、サウスウエスト航空などと並び、アーティストとしては最高位である。また、QuestionPro社の調査では、エラズ・ツアーのチケットを購入したファンの1興行あたりの平均支出は1327ドルで、予算を720ドル上回ったものの、91%の観客は「もう一度行きたい」と希望している。この内大半が18歳から64歳の女性であった。
Fans enjoy Taylor Swift's performance during The Eras Tour  (Allen J. Schaben / Los Angeles Times via Getty Images)

(Allen J. Schaben / Los Angeles Times via Getty Images)

テイラーが動けばお金も動く

エラズ・ツアーは北米を経て、南米、日本、豪州と続くが、その総売り上げは50億ドルを越えることが予測されており、世界50カ国のGDPを上回る勢いである。

ロサンゼルスだけで3億2000万ドルを売り上げ、地元には1億6000万ドルを貢献、デンバーでは1億4000万ドルの売り上げに加え、地元経済に2億ドルをもたらした。ピッツバーグでは市内ホテルの利用率が95%、地元経済への貢献が4000万ドル、ナッシュビルでもホテル価格を平均5割上昇させたにも関わらず利用率が3割増えるなど、ローリングストーンズやU2が記録したアーティスト効果の記録を塗り替えている。さらにマスターカード社は、エラズ・ツアーの開催日にはスタジアムの周辺2.5マイルでUberの利用が68%増、ホテルの売り上げも47%上昇すると開示している。
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