イマーシブ=没入感の新エンタメが、地域を救う 地域課題を解決する可能性とは

Photo by Charles McQuillan/Getty Images

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近年、映像や音響など最新の技術を駆使し、絵画やマンガなどコンテンツの世界に入り込んだ感覚を味わえる「イマーシブ(=没入できる)」をキーワードにしたイベントや施設が増えている。今回はそのイマーシブコンテンツの市場拡大と、それにともなう地域価値の向上や地域振興などの可能性について注目していく。

イマーシブコンテンツの始まり

英語で没入できるを意味する「イマーシブ」。2021年にカナダ、トロントの興行会社Starvox Entertainmentが、新聞社の輪転機を撤去した都心の高層ビルの下階空間を借り、ゴッホの作品をプロジェクターで床や壁一面に投影。音響技術も駆使して絵画に没入できる空間を作り上げ、観客が自ら歩き回る体験を提供したところ、大盛況となったことが始まり。

コロナ禍で閉鎖の危機もあったが、開催場所が元新聞社の配送センターで、車の乗り入れが可能だったことから、乗車したまま楽しめるドライブイン展示館を併設。午前7時から午前3時まで予約が埋まったことがSNSで拡散され、世界各国からフランチャイズ展のオファーが殺到。地方都市を巡回するバージョンも企画され、北米だけで累計500万人の来場者を得た。
壁一面に映し出されるゴッホのひまわり(Photo by Katherine Cheng/SOPA Images/LightRocket via Getty Images)

壁一面に映し出されるゴッホのひまわり(Photo by Katherine Cheng/SOPA Images/LightRocket via Getty Images)

ゴッホは死後長期の年月を経たことで著作権が切れているため、その後競合4社による類似したゴッホ展が登場。日本各地でも開催されたことから、広告などを目にした人も多いのではないだろうか。

日本発のイマーシブも人気

日本では昨年、ディズニーアニメのイマーシブ展が、Starvoxからライセンスを取得した日本テレビによって東京・六本木ヒルズの森美術館で始まった。2月にはチームラボのCG映像を主軸にした美術館が麻布台ヒルズにオープン、すでに来日観光客が溢れている。

そして3月には、世界初のイマーシブテーマパークとして「イマーシブ・フォート東京」が東京・お台場の「ヴィーナスフォート」跡地にオープン。シャーロック・ホームズのストーリーを基調に、入場者がリアルな出演者たちとストーリーの中に入り込んで演劇の展開に参加。あらかじめ用意された複数の脚本が客の選択によって進行していく斬新な興行である。こちらは、映像が主ではなく、観客と演者のインタラクションを主軸にリアルなセットも組まれることから、没入型演劇と称され、英国などでも競演、盛況を呈している。

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