イマーシブ=没入感の新エンタメが、地域を救う 地域課題を解決する可能性とは

Photo by Charles McQuillan/Getty Images

地域課題を解決する新たな可能性

映像を主とした没入感を演出するイマーシブコンテンツの特徴はなんといってもCGやデジタル投影技術である。従来のエンタテイメント興行は、演者や装置を移動させ、設営、搬入などに時間と経費を要する一方で、イマーシブコンテンツの開催に必要なのは、演出や規模の大きさによっても異なるが、最低限、床や壁をスクリーン化し、プロジェクターや音響機材などを揃えることで、上演はボタン操作で簡単に実施ができる。さらに、観客が自ら会場を回るため、座席の設置や座席数による制限が無く、小型施設でも数多くの観客を迎え入れることができる。
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こういった特徴から、今回のイマーシブ・フォート東京がヴィーナスフォートの跡地を利用したように遊休化した大型施設を使うことはもちろん、空き店舗や使われなくなった学校、公共施設などを使うことで、最小限の費用で実施することができるのである。

人口減少が進む日本では、低・未利用地は活用は地方を中心に全国的な課題だ。イマーシブ興行によって遊休不動産や空き店舗などを有効利用することで、地域価値の向上につなげることができるのではないか。さらに、従来のエンタメに比べ開催が容易であるからこそ、都市のみならず地方でも新規エンタメ興行の再構築が可能になり、地域振興にも寄与することができる。

異業種参入による市場拡大

こうした可能性に向け、イマーシブ興行のさらなる盛り上がりを期待したいが、これからは従来の興行事業者だけではなく、異業種、特に不動産デベロッパーの参入によって、イマーシブ施設が広がる可能性が考えられる。デベロッパーが手掛ける新規の大型、高層建築の許可申請の際に、行政から要求される美術館、文化施設、劇場、アートギャラリーなどのパブリックスペースの設置要件をイマーシブ施設であれば、最小限の設備投資で満たすことができる。そのためデベロッパー主導による設置が進むことが予想されるのである。

3月、来日したイマーシブの火付け役であるStarvox EntertainmentのCorey Ross社長に取材したところ、最高レベルのビジュアルインパクトを来場者に与えるためには、1500〜3000平米の床面積と10メートルの高さの空間を確保できることが理想だが、1000平米、高さ5メートルでも十分に好評を得ることは出来るとし、大都市のみならず、中小都市でもイマーシブ展専用会場が増えることを見込んでいる。今後は、北斎・広重の浮世絵や、伊藤若冲に代表される日本画、アニメや漫画、ハローキティーやポケモンまで幅広い日本産オリジナルコンテンツをイマーシブ展化し、世界展開を図りたいと意欲的である。
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コンテンツ開発の活性化と市場拡大とともに、遊休地活用による地域価値の向上などイマーシブのさらなる可能性にも期待したい。

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