研究論文著者は、以下のように書いている。「フィリップとロンバルドの実験(2017年)によると、参加者に2分間にわたってののしってもらったところ、(過去のつらい体験を振り返ったときの)苦痛が軽減された。しかし、より目立った鎮痛効果を得られるのは、日ごろからののしっている人よりも、普段はあまりののしらない人の方だ。これは、日ごろから過剰にののしっていると、短期的な介入方法としての痛み軽減効果が薄れることを示唆するものだ」
また、ののしることの適切さと、それが及ぼす影響は、文化や状況によって大幅に違ってくることも認識すべきだ。ある社会的な場面では適切であっても、別の場面では極めて不適切になるかもしれない。ののしり言葉の潜在的なメリットをうまく生かすと同時に、潜在的な欠点を最低限に抑えるためには、そうした微妙な差異を理解することが大切だ。
加えて、口汚いののしり言葉についての好き嫌いや不快に感じるかどうかも、人によって大幅に異なる。このことは、対処メカニズムや、人付き合いにおける潤滑油としてののしり言葉が効果を発揮するか否かを左右することになる。従って、ののしり言葉をツールとして活用するときには、見極めが肝心だ。
口汚くののしることは、悪いイメージがつきまとっており、マナーの悪さや自制心のなさの表れとみなされることが多い。しかし心理学的な研究では、いくつかの意外なメリットがあることが判明した。ただし、その時々の状況に合った適切な調節が重要だ。
というわけで、次に足の指を何かに思いっきりぶつけたときは、必ずしも我慢する必要はない。絶妙なタイミングでののしるよう、医師は勧めてくるかもしれない。
(forbes.com 原文)