欧州

2024.06.21 11:30

5回撃たれたウクライナ兵、敵か味方かわらかぬドローンに救助求める 結果は?

ドミトロは賭けに出た。第47旅団は「彼は危険を覚悟で、助けを必要としているという合図を送り始めた」と説明している。近づいてきたドローンのカメラに向けて、ドミトロはまず自分の腕時計などを指さし、自分に残された時間が少ないことを伝えた。次に軍のIDカードを見せ、自分がロシア兵でないことを知らせた。

幸運にも、ドローンは味方のものだった。メッセージを受け取ったウクライナ軍のドローンチームからの連絡で、ドミトロの救助が手配された。彼にとってさらに幸運だったのは、第47旅団が迅速な救難任務に適した独自の車両を持っていることだった。

米国製のM2ブラッドレー歩兵戦闘車だ。第47旅団は、スピードが出て、比較的大人数を収容でき、十分に防護された装軌装甲車両であるM2を、ウクライナ軍で唯一運用している。戦闘のほか、包囲された歩兵分隊の救出や、前線の陣地からの負傷兵の後送にもこの車両をよく使っている。

ドローンに合図を送ってからわずか1時間後、ドミトロが身を潜める場所にM2が駆けつけた。兵士2人が素早く車外に出て、ドミトロを介助しながら収容した。車内では衛生兵が待機していたようだ。「運び出してもらい、応急処置を受けました」とドミトロは語っている。

M2はドミトロをウクライナ側の防御線内の安全な場所まで急いで送り届けた。そこで救急チームが対応を引き継いだのだろう。ドミトロによると「いまは病院で療養中」とのことだ。

この大胆な救出劇は、M2が第47旅団で愛用されている理由を再認識させる出来事にもなった。同時に、米国が5月に2週間で100両かそこらのM2をウクライナに追加供与した理由もあらためて思い起こさせた。ウクライナは以前に供与されていた200両のM2のうち40両ほどを失っており、新たに届く分でそれを補充できることになった。

ドミトロは思い切った行動に出て、九死に一生を得た。それには、機動性の高いM2も一役買った。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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