アジア

2024.06.22 14:15

韓国の石油埋蔵騒動で株価乱高下、与党と野党の「口喧嘩」にも発展

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6月3日午前、韓国の尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は、「浦項の迎日(ヨンイル)湾沖に莫大な量の石油とガスが埋蔵されている可能性が高いという物理探査結果が出た」と発表した。

さらに、「140億バレルに達する石油・ガスが埋蔵されている可能性が非常に高いという結果が出ており、有数の研究機関(アクトジオ社)や専門家の検証も済ませた。産業通商資源部の探査試錐計画を承認し、来年の上半期まである程度結果が出てくるはずなので、国民の皆さんは落ち着いて試錐結果を見守ってほしい」とした。

米国の世界最高レベルの深海技術評価専門企業であるアクトジオ(ACT-Geo)社も、6月7日に記者懇談会を開き、同社顧問であるビトール・アブレウ博士が「プロジェクトの有望性はかなりある」と説明した。

石油埋蔵説は今回が初めてではない

これらの発表と同時に、韓国では石油関連銘柄株は暴騰し始めた。

ある証券会社では、「韓国でガスが出たら?」というレポートを発表し、「政府が予想した浦項迎日湾沖の140億バレルに該当する石油・ガスの埋葬量を見ると、このうち4分の1は石油、4分の3はガスと推定されるが、これは石油の場合は韓国が4年間使用する量、ガスは29年から30年間使える量である」とした。

これまで韓国では「国内に埋蔵資源はなく、人が資源」という認識が一般的だった。それが今回の石油埋蔵騒動では、「自国にも石油・ガスが埋まっている可能性がある」という希望が語られ、これは衝撃的な話題にちがいない。しかし、この「韓国にも石油が埋蔵されている説」は、実は今回が初めてではない。

1976年1月15日、当時の朴正煕(パク・チョンヒ)大統領の年頭記者会見でも石油が埋まっている可能性が次のように語られていた。

「経済性があるかどうかを科学的に探査しなければならないだろう。外国の技術者たちはとても有望だと言っているが、待ってみないとわからない。埋葬量を知るためには、試錐してみなければならない。国民が歓喜し興奮する心情は理解できるが、直接掘って見ないとわからない。しかし、韓国が富強な国をつくるために精をつくせば神様がいいプレゼントをくれるかもしれない。我慢して待ってほしい」

当時の埋葬量分析では、「363億バレル、53年間の使用分に当たる」ということであった。試錐した結果、石油があることはあるが、経済性がないということで開発の話は消えた。

「経済性がない」ということでも諦めきれなかった当時の朴大統領は、浦項と地帯が似ているところを探して石油が出るか探査させた。そして国内の石油が出そうな地層を掘り返した。しかし、期待した結果は出なかった。

だが、これには面白い後日談もある。その後、歳月が流れ1990年代になって、石油探査過程で掘り返された地層で恐竜の足跡が見つかったのだ。堆積層の下に埋もれていた足跡は、白亜紀末の恐竜と翼竜のものと分析された。
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文=アン・ヨンヒ

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