特に、HYBE傘下の子会社「ADOR(アドア)」のミン・ヒジン代表が、親会社に反旗を翻すような激烈な記者会見を開いてからは、世論の風向きが一気に変わってきている。
4月25日にミン代表が記者会見をする前は、HYBE側の主張だけがメディアで報じられていたため、彼女に対しては「HYBEの庇護のもとで育てたNewJeansというアイドルを、自分が育てたからと横取りしようとしている」という見方が一般的だった。
しかし記者会見後は、ミン代表に対する世間の見方が一変した。
会見の模様はネット配信でも流されたのだが、ラフな格好、尊敬語を交えたタメ口、感情が高ぶったときは俗語や上司への悪口、差別用語など、テレビ放送では絶対ありえないような型破りなものであった。ネットで視聴した人のなかには、彼女の発言に溜飲を下げたという人も多かったという。
5月8日にメディアトマトが発表した世論調査では、「HYBEとミン代表とどちらの主張に共感を覚えるのか」という問いに対して、「ミン代表の主張に共感する」という回答が33.6パーセント、「HYBEの主張に共感する」という回答は24.6パーセントで、前者のほうがポイントは上回った。
年齢別に見ると、20代では圧倒的に「ミン代表の主張に共感する」が62.3パーセントと多くを占めたようだ。また昼間の生配信であったため、会社で同僚と一緒に視聴した人も多く、特に女性の会社員たちの間では、ミン代表の発言に共感を覚えたという声も多数上がった。
ADORの代表という役職にあるものの、ミン・ヒジンは一介の会社員であり、これまで接待の酒席もゴルフもせずに、黙々と自分の仕事をこなしてきた。それなのに、当初、流されてきたのはHYBE側の主張を汲んだメディアでのネガティブ報道であった。
しかし記者会見後は、いまだに家父長制的なエンタメ企業のなかにあって孤軍奮闘で戦う若い女性というイメージに、ミン代表に対する報じられ方も変わってきた。記者会見終了後には、多くの記者たちが彼女の発言に感銘を受けて名刺を渡そうと駆け寄ってきたという。
また、記者会見を報じたテレビ局のアナウンサーたちからも「彼女の発言を聞いていて、スカっとしました」というコメントも飛び出した。記者もアナウンサーたちもやはり組織のなかで働く会社員であり、ミン代表の発言には共鳴する部分も多かったようだ。