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2024.06.24 09:15

三菱鉛筆6代目社長の「奉仕するリーダーシップ」 2年連続で過去最高益を達成

文房具を通じて表現に寄り添う「Lakit(ラキット)」

三菱鉛筆の存在価値は何か。議論を重ねる中で、筆記具というモノを売るだけでなく、筆記具を通じて「書く、描く」という”表現体験そのもの”を提供するという方向性が浮かびます。そして、筆記具をはじめとするレッスンに必要な道具をキットとして、このキットとオンラインレッスンを組み合わせたサービス「Lakit(ラキット)」が生まれました。

「Lakit(ラキット)」について、数原氏は「お客さんの表現活動、夢の実現に寄り添うことになれば」としつつ、経営的な面からは「新しいことにチャレンジした社員が生み出してくれた点」と意義を語ります。

コロナ禍にありながら、社員が自由に力を発揮して生まれたサービスは、企業にとって代えがたい財産でした。そして、2022年、三菱鉛筆は過去最高を更新する680億円超の売上げをたたき出しました。

「支えるタイプ」のリーダー像


数原氏は、自らのリーダー像を「支える型」と語ります。多くの場合、社長になる人は、「自分は強い」「強くならなければいけない」という自意識を持っています。しかし、数原氏は「自分は弱いって知ってますから。だから、色んな仲間の力を頼っていけばいい」と話します。

社員が力を発揮すれば、自分は目立たなくてもいい。社長は縁の下の力持ちで、主役は社員だ。それは、先代までが、現場を大切にする組織を作り上げ、研究開発の投資などで高いレベルの社員を育ててきたバックボーンがあるからこそ、可能だといいます。

三菱鉛筆は2022年、創業150年にあたる2036年を見据え、「世界一の表現革新カンパニー」になるというありたい姿(長期ビジョン)を掲げました。そこには、社員がチャレンジして生み出した「表現に寄り添う」新規事業への期待と敬意、そして、かつて世界に負けない鉛筆を作ろうとした三菱鉛筆の社風がにじんでいます。

三菱鉛筆の売上高は、数原氏が就任して3年目の2022年に過去最高の680 億を超えましたが、さらに、2023年12月期の連結業績では、売上高で前年比8.4%増の748 億100万円と2 期連続で過去最高を更新。

「社員が頑張ってくれたことに尽きる」と語る数原氏は、サーバント型リーダーシップを実践している経営者です。サーバント型リーダーシップとは、部下に指示や命令をするのではなく、奉仕して目標達成のための行動を促すリーダーシップです。支援型リーダーシップとも呼ばれます。

数原氏は「前社長の就任期間は33年。社長に成り立ての私には経験も知識も何もなかった」と語り、「社員と一緒に作っていくだけ」という姿勢で、社員とともに戦略や方針を描き、業績向上に結びつけています 。

鉛筆よりボールペン、国内よりも海外で売上げ


デジタル化、IT 化が進む中、周囲から「鉛筆屋さんって大変じゃないの?」と言われることも多いそうです。実は、鉛筆は三菱鉛筆の全売上げにおいて約5%にしか過ぎません。売上げの約半分を占めるのは、人気商品「JETSTREAM」をはじめとしたボールペンです。

「ただ、やはり全体の売上げの90%を筆記用具が占めている中、それ以外の事業の柱となるものを作って行かなければならない」と数原氏は語ります。その一つが、コロナ禍で誕生したキット付きのオンラインレッスン配信サービス「Lakit(ラキット)」です。
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