気候・環境

2024.06.21 09:00

EUで進む、実態以上に「環境にやさしい」と主張する企業への牽制

この指令は、企業がマーケティングで自発的に使用する明示的な環境主張および環境ラベルを対象としている。目標は、消費者が環境に関する主張を「明確かつ理解しやすい」ものにすることだ。

グリーンクレーム指令に対する理事会の見解は以下のものである。「環境主張が信頼でき、比較可能で、検証可能でなければ、消費者やその他の市場関係者は、購買決定を十分に活用して、より良い環境パフォーマンスを評価することができない」。この新しい指令は、「消費者が情報に基づいた購買決定を行うことを可能にし、そのような明示的な環境主張を行い、そのような環境ラベルを表示する市場関係者のための公平な競争の場を作り出すのに役立つ」ことで、他の気候変動への取り組みにも影響を与えるだろう。

「明示的な環境主張や環境ラベルが、環境影響や環境側面の利点を指摘する一方で、それらの利点の達成が他の環境影響や環境側面にマイナスの影響を与えることを省略していれば、消費者を欺くことになる」

特筆すべきは、この指令がカーボンオフセット、つまり企業が温室効果ガス排出量を相殺するためにカーボンクレジットを購入することを標的にしていることだ。「温室効果ガス排出量のオフセットに基づいて、製品が温室効果ガス排出量に関して中立、削減、またはプラスの影響を与えると主張することは、あらゆる状況下で禁止される」

理事会の立場は、指令の最終的な文言を起草するための欧州議会との交渉に使用される。交渉は次の立法会期中に開始される見込みだ。採択されれば、この指令は中小企業や零細企業を含む、EUに拠点を置くすべての企業に適用される。ただし、現在の提案では、中小企業への適用は14カ月遅らされる。

最近のEU選挙で議会が右傾化したことの影響はまだ不明である。選挙前でさえ、議会と加盟国から中小企業への規制負担を減らすよう求める声があった。最近採択された「企業持続可能性デューディリジェンス指令」の例を踏まえると、グリーンクレーム指令は最終採択前に大幅に緩和される可能性もある。

forbes.com原文

翻訳=酒匂寛

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