気候・環境

2024.06.21 09:00

EUで進む、実態以上に「環境にやさしい」と主張する企業への牽制

写真:Getty Images

6月18日、欧州連合(EU)理事会は「グリーンクレーム指令」に関する立場を採択した(グリーンクレームとは「環境への配慮を主張する行為」のこと)。この新しい指令は、欧州グリーンディールの一環としてグリーンウォッシング(企業が実際以上に環境に優しいと誤解させる行為)を抑制し、消費者がより環境に優しい選択をする手助けをすることを目的としている。採択された理事会の見解は、最終的な指令の内容を示す重要な叩き台となるが、今後の交渉により変更が加えられることが予想される。

気候変動の影響に対する世界的な懸念が高まる中、環境に優しい企業を支援したいという消費者の関心も大いに高まっている。この消費者の関心の高まりや、金融投資家などからの圧力により、企業は気候変動対策に積極的な姿勢を取るようになってきた。しかし、企業が環境に優しい行動を誇張するいわゆるグリーンウォッシングの懸念も増えている。

従来、グリーンウォッシングはマーケティングを通じて行われていた。環境に優しい企業を求める消費者基盤がある中で、企業は自らをより「グリーン」に見せることで利益を得ていた。近年では、気候変動や温室効果ガス排出に関する主張の誇張を直接的に指摘する「クライメートウォッシング」というフレーズが、グリーンウォッシングの一部として広がってきた。数十年にわたり、グリーンウォッシングは企業による実際の変化を求める環境活動家を苛立たせてきた。しかし、環境、社会、ガバナンス(ESG)投資の成長に伴い、グリーンウォッシングの法的な問題も増加してきた。単なる巧妙なマーケティングキャンペーンから、投資家を誤導し消費者を保護する法律に違反する行為へと変化してきたのである。

グリーンウォッシュへの規制はこれまで全般的に不足していた。しかし、パリ協定が他の気候関連規制を推進する中で、グリーンウォッシングの法的な対処も進んできた。特にEUでは一連のグリーンウォッシュ防止指令が立法プロセスにある。

2月にEUは「グリーン移行のために消費者に権限を与える指令」を採択した。この指令は、特にグリーンおよび気候関連の主張を対象としており、認められた優れた環境パフォーマンスがない限り、一般的な環境主張を禁止している。本指令で問題視されている文言の例として、「環境フレンドリー」「エコフレンドリー」「グリーン」「自然の友」「エコロジカル」「環境に配慮」「気候に優しい」「環境に優しい」「二酸化炭素に配慮」「エネルギー効率が良い」「生分解性」「バイオベース」などが挙げられている。

グリーンクレーム指令は、「明示的な環境主張に関する具体的な側面と要件、すなわち、書面または口頭で行われる環境主張、および環境ラベリング制度とそれに対応する環境ラベルに関する、それらの実証、コミュニケーション、検証」について、「グリーン移行のために消費者に権限を与える指令」と並行して機能するように設計されている。
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翻訳=酒匂寛

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