M113はまた、TOW対戦車ミサイルや大口径の機関銃・機関砲といった重量級の武装をすることも可能だ。ソーシャルメディアでは、旧ソ連製の23mm口径ZU-23-2対空機関砲を搭載したウクライナ軍のM113の画像も共有されている。さらに、電子戦システムや対ドローン(無人機)といった、新たな技術を迅速に統合できるような設計にもなっている。
M113は、ロシア軍の現在の装備構成に対して好都合な車両でもある。どういうことか。ロシア軍は、旧式の車両や兵器プラットフォームを、電子戦システムをはじめとする先進的な技術と組み合わせて配備している。M113は冷戦時代にソ連の装備への対抗を念頭に設計された車両だが、その装備が現在、ロシア軍によって再び使われているのだ。また、M113はかなり古く、使われている技術の多くはアナログだ。そのおかげで、ロシア軍が先進的な最新の電子戦システムを投入しても、M113のアナログシステムは影響を受けない。
M113は運用面でもいくつか利点がある。まず、M113はより新しい世代の装甲車両と比べると相対的に安価なので、米国はたとえばブラッドレー1両に対してM113なら数両供与できる。また、比較的軽量なため燃料はブラッドレーの半分で済むなど、運用コストも低い。
さらに、ウクライナ軍はこれまでも米国やその他の国からM113を受け取っているので、この車両に習熟しており、運用や整備にあたる要員の訓練にかかる時間も短縮できる。このほか、これまでに損傷したM113も多いため、そこから取り出すことでスペアパーツ在庫も大量に確保できるだろう。
ウクライナへの最近の軍事援助にM113も含まれていることは、この戦争が技術の活用という点で複雑な様相を呈していることの表れである。双方とも、より高度なドローンや電子戦システムの開発を急ぐ一方で、M113のような旧式の装備が戦場で役に立つ場合もある。米国から新たに供与される200両のM113は、ウクライナの戦場に届きしだい、すぐに直接の影響を与えることになるだろう。
(forbes.com 原文)