同族企業の事業承継、大切なのは親子間の合意
幼いころから「うちの4代目です」と紹介されてきた星野氏。彼は、これからファミリービジネスを承継する人に向けて、親子間の「合意」が重要だと語る。
「日本のファミリービジネスでは『継いでほしいと思っている』や『継ぎたいと思っている』という話をしないまま、親が歳を重ねていくケースが多すぎるのではないでしょうか。意思を伝え合わなかったために、『親父はもう80歳、子どもの自分は50歳になったけれど、まだ継がせてもらっていない。将来的に僕が継ぐことになるのか、それとも廃業するのか……』と、継ぐ側が不安になってしまうケースがたくさんあります」
親子とはいえ、あうんの呼吸で会社の将来を決めることは難しい。幼いころから「ゆくゆくは継いでもらいたい」と伝え、先代の背中を見せながら、会社の理念やビジョンを折に触れて伝えることが望ましいという。
日本経済成長のカギを握る「中小企業の事業承継」
日本の中小企業の成長は、日本経済の成長に直結する。中小企業の事業承継を支援して、日本経済を盛り立てていきたい──。星野氏はそう考えている。
「日本企業の90%以上はファミリービジネスで、日本企業の利益の大半はファミリービジネスの企業が作っています。これが2倍になるだけでも、日本経済は大きく成長するでしょう。日本にはまだまだ、事業承継に失敗し、廃業を選択せざるを得ない企業も多いのです。そんな企業の事業承継が成功すれば、その地域の経済、ひいては日本経済を支える企業へと成長していく可能性も大いにあります」
日本経済を下支えする中小企業。その多くが倒れてしまうと、日本経済は低迷から脱することは難しいだろう。中小企業経営者が、星野氏の事業承継から学ぶことは多いはずだ。
星野リゾート◎1914年、軽井沢に旅館「星野温泉旅館」を創業。1951年、株式会社星野温泉を設立し、1995年に星野リゾートに名称を変更した。5つのサブブランドを中心に国内外でリゾートホテルやスキー場などを手がける。
前編:
後編:
(本記事は、事業承継総合メディア「賢者の選択 サクセッション」の前編と後編を編集しています。)