北米

2024.06.13 09:30

米軍がレーザー兵器でドローンを撃墜し始めたもよう AIで識別、弱点見抜く

60年来の悲願

国防総省は、レーザーが発明された当初からレーザー兵器の虜になっていた。電磁波の「殺人光線」を開発しようという取り組みはそれ以前にもあったものの、派生物としてレーダーを生み出した以外、不毛な結果に終わっていた。レーザー兵器は、米軍がまさに求めているもののように思えた。レーザーが実験室で誕生してかららわずか2年後の1962年、国防総省は「ディフェンダー計画」の一環で、レーザー兵器によってソ連のミサイルを撃墜することを目標に掲げた。

1963年、キューバ危機を受けてレーザー兵器開発の緊急性が高まり、ケネディ大統領はディフェンダー計画を「国家の最優先事項」に格上げした。実現性のある兵器の開発までにはさらに10年を要したが、1973年11月13日、ディフェンダー計画を受け継いだ計画のもと開発されたレーザー兵器が、ニューメキシコ州のカートランド空軍基地で標的のドローンの撃墜に成功した。ただ、この計画は結局、実用的なレベルまで技術を成熟させることはできなかった。

その後も高出力レーザー兵器は続々と開発され、いずれもドローンの撃墜能力が実証されている。最も有名(にして壮大)なのは、ボーイング747旅客機を改造してメガワット級化学レーザーを搭載した試験機「YAL-1空中発射レーザー」だろう。レーガン時代の「戦略防衛構想(SDI)」、通称「スター・ウォーズ計画」から派生したYAL-1は2002年に初飛行したが、実際に運用されることはないまま2014年に開発が打ち切られた。

2014年に実地テストのため米海軍の輸送揚陸艦「ポンス」に搭載された「XN-1 LaWS(Laser Weapon System:レーザー兵器システム)」のように、実戦投入されたレーザー兵器もある。同艦がペルシャ湾にいた間、XN-1は戦闘での使用が許可されていたものの、実際に戦闘で使用されることはなかった。あるレビューでは、XN-1は小さな目標の追尾やビームのコヒーレンス(可干渉性)に問題があるため、製品として量産するのには向かないとの見解が示されている。

米軍は現在、高出力レーザー兵器の開発計画を少なくとも31件進めている。うち少数の兵器は、イエメンの反政府勢力フーシ派やイラクなどの武装組織が用いるドローンからの防御のため、現地で使用されている。もっとも評価は低いものもある。たとえば、ストライカー装甲車に搭載された「指向性エネルギー機動短距離防空システム(DE M-SHORAD)」というレーザー兵器に関するある記事では「これまでのところ、兵士からのフィードバックからは実験室や試験場での結果と実際の戦術展開時との間に大きな差があることが示されている」と紹介されている。

対照的に、LOCUSTは実戦でも想定どおりに働いているようだ。
次ページ > AI搭載のソフトウェアがかなめ

翻訳・編集=江戸伸禎

タグ:

ForbesBrandVoice

人気記事