キャリア・教育

2024.06.19 13:30

才能を生かして起業する「タレントプレナー」が世界を変える!

「才能」についての研究を行い、才能支援プログラムを開発し、1000人以上に実施。才能あふれる起業家創出事業を行うTALENT・佐野貴が提唱する「タレントプレナー」とは。


──「タレントプレナー」とは何か。

佐野貴(以下、佐野):才能を意味する「タレント」と、起業家を意味する「アントレプレナー」という単語をかけ合わせた造語です。「才能起業家」とも呼んでいますが、自分の才能を起点に事業を営んでいる人をタレントプレナーと定義しています。
 
一般的な起業家の場合、市場理解から始め事業を考えるため、ビジョンをかなえるのは後手にまわりがち。タレントプレナーの考え方では、まずその人のやりたいことや欲求からスタートして、その人のもつ才能、さらにその才能が発揮される環境という順で、取り組む事業を考えていきます。市場やステークホルダーからの意見にまどわされることなく、自分らしく働ける環境が整っていることも、特徴のひとつです。
 
この考え方は、事業に対するモチベーションが続かなくなりバーンアウトしたり、ほかのうまくいっている人のまねをして失敗したりする起業家を、数多く見てきたことがきっかけでした。人それぞれの起業のかたちがあるのではないかと考えたのです。実際に、個人の才能が事業の成果にどのようにつながっているかを調査しており、タレントプレナーは、パフォーマンスが高く、成果を出しやすいことが研究結果としてわかってきました。

──タレントプレナーに該当する人は、日本にどの程度いると考えているか。

佐野:今は1~2割といったところでしょうか。例えば、YouTuberをはじめとしたインフルエンサーとして活動する方々のなかには、生き生きとしながら、経済への波及効果も大きい人も多い。起業家のなかにも、自身の思いをパーパスに掲げ、社会課題に向き合って活動している方もいます。個人・組織を問わず、自分のやりたいこと、才能にもとづいて活動している人は、徐々に増えてきている印象ですね。

──「才能」という言葉を、どう定義しているか。

佐野:一言で、「ついついやってしまい、やってよかったと思えること」と定義しています。自分の長所がすなわち、才能だと考えています。人と比較し始めるときりがないので、「(才能は)自分が癖のようにやってしまうことから見つけましょう」と説明しています。そして才能を発揮できるかどうかは、環境に左右されることにも気をつける必要があります。
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文=加藤智朗 イラストレーション 構成=Kouzou Sakai

この記事は 「Forbes JAPAN 2024年6月号」に掲載されています。 定期購読はこちら >>

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