キャリア・教育

2024.06.08 14:00

学歴不問の「スキルファースト採用」、人材維持率がほぼ倍との調査も

Shutterstock.com

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職務に適した人材の採用となると、履歴書がまだ不可欠であることは確かだが、採用のあり方を変えうる「スキルファースト採用」を導入する企業が増えている。

この採用方法では、雇用側が選考の際に候補者の学位や出身大学を見るのではなく、持っている特定のスキルを候補者に示してもらうことに重点を置いている。

スキルファーストの採用過程では、例えば求職者が就職活動向けビデオプラットフォームのOdro(オドロ)などで短い動画を録り、その中で自分が持つスキルについて語り、5つの短い質問に答えるというものがある。こうした採用過程をとる企業がますます増えている。

また、このアプローチと、従来のコンピテンシー・ベース採用(応募者と社内人材の能力を比較する手法)の面接の質問を区別することも重要だ。同じ事例を何度も用意して作り直すよりも、応募段階でスキルファーストの評価を行う方が、より効率的に候補者の中から最適な人材を見極めることができる。

実際、デロイトの報告書によると、スキルファースト採用を取り入れている組織は、そうでない組織に比べて人材を効果的に配置できる可能性が107%高い。また、生産性の高い人材を維持できる可能性が98%高く、キャリアアップに適した職場としての評判を築きやすいという。

デロイトが実施した調査では、従業員の約3分の2が、前職や学位よりもスキルを重視し、それに基づいて意思決定を行う組織により魅力を感じ、辞めずに働き続ける可能性が高いと回答している。

履歴書はもはや必須ではない?

とはいえ、履歴書はもう重要ではない、というわけではない。雇用主は依然として、履歴書に基づいて候補者を絞り込み、その後関連するスキルの概要を示す簡単なプロフィールを目にすることを想定している。履歴書は今でも企業が最初に見るもののひとつだ。

だが履歴書がいずれ不要になる日が来るのは間違いない。2003年にサービスを開始したLinkedIn(リンクトイン)は求職や採用のプロセスを変えた。雇用主は最初にスキルを見るようになり、組織はLinkedInに掲載されている情報をバーチャル履歴書として使うようになった。影響力が大きくなるばかりの人工知能(AI)によってこうしたシフトはさらに加速するだろう。
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翻訳=溝口慈子

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