山形県庄内地方で中学校の英語教師をしていた1990年代初頭から日本のコンビニに興味を持ったホワイトロー博士に以下、日本のコンビニ独自の魅力についてメールでインタビューを行った。
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最初は、山歩きの行き帰りの「補給ポイント」だった
──「コンビニ」研究を始めたいきさつについて教えてください。以前、「日本でコンビニがここまで成功をおさめることになった『文化的理由』を突き止めたかった」という意味のことを話されていますが(参考:日航財団「イブニングセミナー」でのプレゼンテーション)。
ホワイトロー博士:私が初めてコンビニと出会ったのは、1990年代半ばの山形の田舎でした。当時はコンビニにとくに意味ある思い入れはなかったですが、山歩きをよくしていたので、山への行き帰りの「補給ポイント」として便利だったんです。
牛乳がどこにあるか分かっていたし、値段は明確に表示されていたし、トイレは清潔で、当時はカギもかかっていませんでした。コンビニはとても効率が良い「身近な」場所でした。
その後人類学を学び始め、グローバリゼーションや消費文化、社会理論について研究するようになった時、思考が再びコンビニに向いたんです。それまでとは異なった視点からコンビニを見るようにもなりましたね。
ホワイトロー博士:私は社会文化人類学者で、根っからの人間中心主義者(ヒューマニスト)です。人間の考え方、習慣、信念、そして人間が他者や周囲の世界とつくり上げる関係に、深く、ゆるぎない関心を持っています。人類学者としての私は日々の生活の文脈の中でも人間を研究しています。
私は、他者がある時間、ある場所でどのように有意義な生活を送っているのかを、私はよりよく理解したいのです。人類学者は、定性的な社会調査法のひとつである「参与観察(あるいは、私がコンビニで働いたときのように「観察参加」)」を用いて、この理解に近づきます。集中的、かつ没入型のアプローチです。