アジア

2024.05.27 10:30

中国政府は自国経済について何をすべきかわからないようだ

「ホワイトリスト」にはメリットがあるが、中国政府は必要な規模に対してはるかに小規模で運用している。発表された額は、2021年の「恒大集団」の初期の損失のわずか5%を超える程度であり、その後の「碧桂園」など他の開発業者の損失を考慮するともっと少ない。プログラムの規模が大幅に拡大しない限り、「ホワイトリスト」は政策というよりも、中国共産党の会議での話題づくりに過ぎず、ましてや不動産危機の救済策にはならない。

政治局会議以降、北京は地方政府の財政を支えるために1兆元(約21兆7000億円)の債券発行を発表した。この取り組みは一見大規模に見えるが、700万戸の空きアパートの解消にはほとんど影響を与えず、11兆元(約238兆4000億円)とされる地方政府の債務超過に比べれば、さらに不十分だ。

中国人民銀行の利下げプログラムはさらに印象が薄い。これまでのところ、中国人民銀行は5回の利下げを行ったが、合計で0.5%ポイント未満だ。このような小さな動きは、最良の状況でさえ、経済を上昇させることは期待できない。そして、状況は最良からは程遠い。中国人民銀行が利下げを続けている間に、中国では年率約2%の緩やかなインフレが年率約0.8%の緩やかなデフレに変わった。借りたお金と返済するお金の購買力に対するこの変化の影響を考慮すると、中国の実質金利は上昇しており、借り入れと支出の抑制要因として作用している。中国人民銀行は、利下げを開始したときのインセンティブを維持するためだけでも、金利をほぼ3%ポイント引き下げなければならなかったはずだ。借り入れと支出を奨励するためには、さらに多くのことをしなければならない。

7月に予定されている「三中全会」では、新しくてより独創的な解決策が登場するのではないかと推測する人もいる。何かは出てくるかもしれないが、これまでの指導部の行動を考えると、中国が直面している課題に対処するために必要な大幅な政策転換が起こる可能性は高くない。「三中全会」が予定どおりに開催されるかどうかさえ確実ではない。党の憲章では、少なくとも年に1回の中央委員会総会の開催を求めているが、中国では2023年2月以来、中央委員会総会が開催されていない。この17カ月におよぶ空白は、毛沢東が指導していた時代以来、最長のものである。明らかに、党と国家の指導部は何を言えばいいのかわからないでいる。

もし予定どおりに会議が開催され、中国の指導部が力強い政策を発表すれば、経済は回復に向かうかもしれない。しかし、これは2つの大きな仮定に過ぎない。むしろ、最近の傾向が続くなら、中国経済はしばらくの間苦戦を強いられる可能性が高い。

forbes.com 原文

翻訳=酒匂寛

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