ティームーとシーインは現在、一定の額以上の注文に対して無料配送を提供しているが、これは米国での急速な成長を狙うためだ。「この2社は、ビジネスモデルが超ファストファッションであり、すべての商品をすぐに出荷する必要があるため、空輸に依存している」と、コンサルティング企業Cargo Facts Consultingのギレルモ・オチョボはフォーブスに語った。
しかし、これらの企業がコスト削減の方法を模索する中で、空輸への依存は中長期的には変化する可能性がある。両社は現状では、アマゾンやウォルマートと同等の海上輸送および地上ベースの物流ネットワークを持っていないが、米国とメキシコでゆっくりと足場を築きはじめている。シーインは現在、インディアナ州とカリフォルニア州に2つの配送センターを持ち、ティームーも米国に拠点を置く中国の販売業者と協力し始めた。
莫大な利益を稼ぎ出す中国EC
ティームーは米国で大規模なテレビ広告キャンペーンによって認知度を高めており、2023年および2024年のスーパーボウルの広告では「億万長者のように買い物をしよう」と消費者に呼びかけた。結果的に、YouGovが先月発表した米国の調査データによれば、回答者のほぼすべてがティームーを知っていると答えた。ティームーの親会社のPDDホールディングスは、中国のみで利用可能なEコマースサイト、拼多多(ピンドゥオドゥオ)も所有しており、時価総額は2000億ドル(約31兆円)を超えている。最新の年次報告書によると、同社は世界中で1万7000人以上の従業員を抱えており、その大多数は中国で働いていると考えられている。
PDDは3月、2023年の通年の純利益が前年比90%増の84億ドル(約1兆3000億円)だったと発表したが、そのうち約50億ドル(約7852億円)がティームーを含む子会社のものだった。
CNBCによると、シーインの評価額は660億ドル(約10兆3000億円)だ。非上場企業である同社の収益は、2019年の推定25億ドル(約3926億円)から今年は480億ドル(約7兆5000億円)にまで上昇する見通しだと、ドイツのEコマース分析会社ECDBは述べている。
両社は今年、記録的なホリデーシーズンを迎えることになりそうだ。そのため、物流企業はすでに年末の貨物の急増を懸念している。
「業界の多くの人々は、第4四半期のピークシーズンにどれほど困難な状況になるかを考えている。今の時期でこれほどの需要なら、12月にはどんな事になるか分からない」と、米国の物流企業SEKOロジスティクスの商務責任者のブライアン・バークはフォーブスに語った。
(forbes.com 原文)