競争の激しい外食産業の中でも、輝きを放つチポトレ
まず第一に、チポトレの店舗あたりの経済性はすばらしい。第1四半期の平均店舗売上高は前年同期比7%増の310万ドル(約4億8600万円)で、同期間に47店舗を新規出店したにもかかわらず、既存店舗とのカニバリゼーション(共食い)は起きていない。同社は依然として健全な売上高と収益性の伸びを記録しており、人気のテクス・メクス料理(メキシコ風のアメリカ料理)チェーンとして正しい方向へ歩みを続けている。同四半期において、チポトレの売上高は前年同期比14%増の27億ドル(約4241億円)で、既存店売上高(最低でも過去13カ月に渡り営業した店舗)の7%増が寄与した。また、同四半期の1株あたり純利益は前年同期比27%増の13.37ドルだった。パンデミックが終わり店舗での食事が復活したにもかかわらず、ネット注文を通した売上は第1四半期の飲食事業全体のほぼ37%を占めるなど、好調を維持している。チポトレにおいて最も利益率の高いのはネット注文での売上のため、この事業がもつ勢いは、長期的、継続的な利益成長にとって有益である。
第1四半期の食品・飲料・包装コストは0.4ポイント減の28.8%であった。このコスト改善は主に、2023年10月から実施したメニュー価格の値上げによるもので、それにより、主に牛肉と青果を中心としたいくつかの食材費のインフレと、同社のメニュー『煮込み牛肉のバルバッコア(Braised Beef Barbacoa)』のマーケティング施策が成功し牛肉の消費量が増えたことによるコスト高を一部相殺した。その結果、チポトレの店舗レベルの営業利益率は同四半期に1.9ポイント上昇し、27.5%となった。
チポトレが2019年第1四半期に開始した、食事する度にポイントがもらえるリワード・プログラムの会員数は4000万人(2024年第1四半期時点)と勢いを増している。比較として、スターバックスはチポトレより10年以上早く世界トップクラスのリワード・プログラムを導入しているが、2024年第2四半期(4月末日)における米国内の会員数は3300万人である。
そして最後に、同社のドライブスルー・システムである「Chipotlane(チポトレーン)」は、新店舗の売上と利益の向上に寄与している。そのため、第1四半期に新規オープンした47店舗のうち、43店舗がチポトレーンを導入した。
2024年通期について、現在の売上トレンドが続くと仮定した場合、既存店売上高の成長率は1桁台半ばから後半になると私たちは予想する。2024年には285〜315件の新規出店を見込んでおり、その80%以上がチポトレーンを導入するとされている。
チポトレの株式分割は、6月6日に開催されるチポトレの年次株主総会で株主の承認を得る必要がある。承認されれば、6月18日現在の株主名簿に記録された株主は、6月25日の取引終了後、保有株1株につき49株を追加で受け取ることになる。株式分割によってチポトレの事業価値が変わることはないが、1株あたりの株価は現在の約3138ドルから約63ドルに下がり、分割後の株数は50倍に増えることになる。1株を購入するのに必要な金額が下がることで、多くの個人投資家が同社の株式をより購入しやすくなることで、株式の需要が高まる可能性がある。
(forbes.com原文)