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2024.05.22 11:00

【米国株ウォッチ】ジョンソンコントロールズ、エリオットによる購入報道の好材料は折り込み済み?

Sean Gallup/Getty Images

Sean Gallup/Getty Images

米国の空調設備大手ジョンソンコントロールズ(ティッカーシンボル:JCI)の株価は、世界最大級のアクティビスト・ファンドであるエリオット・マネジメントが同社に10億ドル(約1563億円)以上のポジションを構築したとの報道を受け、高値を伺う勢いだ。

株価パフォーマンス

JCIは今年に入ってから20%以上価格を上げた。もっと長い期間で見ると、JCIは2021年1月初旬の45ドル台から現在70ドル前後の水準まで約55%の力強い上昇を見せており、この約3年間で40%上昇したS&P500種株価指数を上回っている。

しかし、JCIの上昇は一貫しているとは言い難い。2021年のリターンは75%、2022年はマイナス21%、2023年はマイナス10%だった。これに対し、S&P500のリターンは2021年に27%、2022年にマイナス19%、2023年に24%であり、JCIは2022年と2023年にS&P500を下回っている。

過去平均で見ても株価は適正水準か

エリオット・マネジメントがJCIで大規模なポジションを構築したというニュースは、株価にとって短期的にはプラスだが、直近の急上昇を見る限り、現在の株価はそうした好材料が十分に織り込まれた水準だと私たちは考える。

私たちはJCIの目標株価を現在の市場価格と同水準の1株あたり70ドルと算出している。これは、2024年度の1株あたりの予想利益である3.62ドルに、過去4年間の平均PER(株価収益率)である19倍を掛け合わせたものだ。

中国の低迷が続き、住宅用設備の需要が減少する中、ジョンソンコントロールズの業績は、ここ数四半期において意味のある伸びを見せていない。一方で、同社は業務用設備の旺盛な需要からは恩恵を受けている。同社のガイダンスによれば、2024年度通期の既存事業売上高の成長率は1桁台半ばになるとされ、調整後の1株あたり純利益は3.60~3.75ドルのレンジになるとされている。JCIは現在、予想利益の20倍前後で取引されており、株価は適切な値付けがされていると思われる。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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