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2024.05.24 10:30

【米国株ウォッチ】ディズニーはインフレ・ショック前の高値202ドルまで回復できるか?

Mike Kemp/In Pictures via Getty Images

ディズニー(ティッカーシンボル:DIS)は米国時間5月23日現在、103ドル前後の水準で取引されており、2021年3月8日につけたインフレ・ショック前の高値である約202ドルを約49%下回っている。

この売りの背景にはいくつかの要因がある。ディズニーのストリーミング事業は、加入者数の伸びの鈍化と競争の激化に直面している。リニアTV事業も、広告の減少や国内市場でのアフィリエイト収入の減少により、このところ業績が低迷した。それとは対照的に、テーマパーク事業はコロナ後の再開以来、堅調に推移しているが、経費の増加や入場者数の正常化が予想されており、当面の見通しは不明瞭だ。

株価パフォーマンス

DISは2023年10月に約80ドルの安値で取引されていたが、2024年3月期第2四半期の業績、特にストリーミング事業の営業利益が市場予測を上回ったことが追い風となり、少しづつ回復を続けている。

より長期の過去の推移を見てみよう。DISは2021年1月初旬の180ドル台から現在の約105ドルまで40%の急落に見舞われている。また、注目なのは、DISが過去3年間、いずれも市場全体をアンダーパフォームしているという事実だ。DISの2021年のリターンはマイナス15%、2022年はマイナス44%、2023年は4%だった。これに対し、S&P500種株価指数のリターンは2021年に27%、2022年にマイナス19%、2023年に24%であり、すべての年でDISのパフォーマンスはS&P500を下回っている。

しかし、もし株価が2021年の水準まで回復すれば、かなりのリターンを得られることになる。2022年に米国を襲ったインフレ・ショック前の水準に戻るということは、現在の103ドルからインフレ・ショック前の高値である202ドルまで回復する、つまり約96%のリターンが得られることを意味する。

決算分析

ディズニーの売上高は、2020年の約650億ドル(約10兆円)から過去12カ月で約890億ドル(約14兆円)に増加した。これは、新型コロナ後に同社のテーマパーク事業における入場者数と平均支出が回復したためである。また、ストリーミング事業からの収益の増加も売上高の成長に貢献した。同社はコロナ禍でテーマパーク事業が打撃を受け、2020年に約29億ドル(約4546億円)の純損失を計上していた。

結論

FRBがインフレ率の暴走を抑えようと努力していることが市場の心理を後押ししており、潜在的な景気後退懸念が和らげば、DISは上昇する可能性を秘めていると私たちは考える。アクティビスト投資家によるDISへの関心の高まりや、ストリーミング事業の最終的な黒字化もあり、株価がインフレ・ショック前の高値まで回復する可能性はあるが、私たちはDISの目標株価を、現在の株価より約30%高い、1株当たり137ドル程度と推定している。

forbes.com原文

翻訳=江津拓哉

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