宇宙

2024.05.19 12:00

人類が「タコ型宇宙人」に決して遭遇できない5つの理由

ウォードによると、小さな巻き貝は、あまり運動しないため、銅が非常に良好に機能する。しかし、タコはこの小さな巻き貝に似た生物から進化したため、常に脳が酸素欠乏に陥る危機から抜け出せないでいると、ウォードは説明している。

2. タコの寿命は驚くほど短い

ウォードによると、タコの種の平均寿命はわずか3年で、平均余命は2年しかない。また、タコの成長速度は、現在知られているほぼ全ての動物の中で最も速いという。

だが、タコは個体の寿命が短すぎて、知性を十分に発達させることができない。

それでも、タコが属する頭足類は、他のどの無脊椎動物よりもはるかに大きな神経系を持っていると、科学哲学者のピーター・ゴッドフリー・スミスは、2017年の著作『Other Minds(邦題:タコの心身問題)』に記している。広く分布している8本腕のマダコは、体内に約5億個の神経細胞があり、イヌの神経細胞数に近いと、ゴッドフリー・スミスは記している。

ウォードは、2歳児と同じくタコは人生経験を積んでいないとして、この年齢の人間を指して、果たして「知的」と言えるだろうかと問いかける。確かに言葉を話し始めるが、どんな2歳児が電波望遠鏡や宇宙船を建造できるのか。タコは生来の知能を実際に利用するための十分な経験を積めるほど長生きしない。これは自然界における最大の悲劇の1つだと、ウォードは述べている。

3. タコは一匹狼で助け合うことがない

オーストラリア・シドニー大学の教授(科学史・科学哲学)を務めるゴッドフリー・スミスは、取材に応じた電子メールで、タコが何らかの文明にまで進歩するには、文化、社会的学習、協力する能力が必要になると指摘している。タコは、知性に関しては異なる設計を示しているものの、文化や技術が直ちに生まれるような基盤ではないだろうと、ゴッドフリー・スミスは続けた。

4. 技術の開発には協力が不可欠

ウォードによると、タコの間では、けんか以外の社会的交流は見られない。しかし、実際に社会的序列のようなものがあるわけではないようだと、ウォードは指摘する。
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翻訳=河原稔

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