2. タコの寿命は驚くほど短い
ウォードによると、タコの種の平均寿命はわずか3年で、平均余命は2年しかない。また、タコの成長速度は、現在知られているほぼ全ての動物の中で最も速いという。だが、タコは個体の寿命が短すぎて、知性を十分に発達させることができない。
それでも、タコが属する頭足類は、他のどの無脊椎動物よりもはるかに大きな神経系を持っていると、科学哲学者のピーター・ゴッドフリー・スミスは、2017年の著作『Other Minds(邦題:タコの心身問題)』に記している。広く分布している8本腕のマダコは、体内に約5億個の神経細胞があり、イヌの神経細胞数に近いと、ゴッドフリー・スミスは記している。
ウォードは、2歳児と同じくタコは人生経験を積んでいないとして、この年齢の人間を指して、果たして「知的」と言えるだろうかと問いかける。確かに言葉を話し始めるが、どんな2歳児が電波望遠鏡や宇宙船を建造できるのか。タコは生来の知能を実際に利用するための十分な経験を積めるほど長生きしない。これは自然界における最大の悲劇の1つだと、ウォードは述べている。