ロシア軍の連隊が攻撃してくると、ウクライナ軍の旅団は機体重量900gかそこらのFPVドローンに加えて、いまでは重量45kgほどの砲弾や25kg弱のミサイルを再び発射できるようになった。亀戦車が次々に破壊されているのはそのためだ。
亀戦車が背負っている薄い金属製の屋根は、500g弱の爆弾を装着した小型軽量のドローンの攻撃からは本体を守ってくれるかもしれない。だが、炸薬量が10kgを超えるような砲弾に対しては役に立たないどころか、かえって危険なものになる。砲弾が甲羅を貫通して車両に火災が生じれば、金属に覆われた亀戦車はオーブン状態になりかねない。
亀戦車の乗員にとっても問題が生じる。溶接された大きな追加装甲のせいで乗員の視界は妨げられており、車両が動けなくなった際には脱出の邪魔になるおそれもあるからだ。
亀戦車の視界の悪さや機動性の低さは、この車両がひどいダメージを受けにくい限りは必ずしも大きな問題にならなかった。しかし、重い弾薬で攻撃されるようになった現在、乗員たちはそれを許容するわけにはいかないだろう。このままでは、損傷時に中に閉じ込められる危険性が高くなるからだ。
ウクライナ軍が今後、武器弾薬の補充をさらに進めれば、突撃してくる亀戦車を仕留めるのはますます容易になりそうだ。そうなれば、ロシア側はこの仕様の放棄、あるいは少なくとも改良を余儀なくされるかもしれない。ただ、視界や機動性を改善するために外殻を小さくすれば、その分、FPVドローンが狙える箇所は増えるだろう。
「戦争ではありふれたことだが、対策とそれへの対策が進化を続けていくことになるだろう」とモスは記している。
(forbes.com 原文)