かつてのロシア帝国の版図を再征服しようというウラジーミル・プーチンの容赦のない行動は、2008年のジョージア(グルジア)侵攻で始まった。民主主義を熱望するジョージア国民の声にわれわれが今度こそしっかり向かい合えば、プーチンの野望をここで葬り去ることができるだろう。
ジョージア一の富豪で事実上の支配者であるビジナ・イヴァニシヴィリは3月、いわゆる「外国の代理人」法案の可決を議会に促した。すぐに抗議デモが起こり、やがて現在のように大勢の群衆が参加する大規模なものに発展した。
この法案は、プーチンが2012年、NGO(非政府組織)や政権に批判的なメディアを黙らせて西側の影響力を制限しようと、ロシアで導入した悪名高い法律と不気味なほど似ている。ジョージアでは、いかにもクレムリンじみたやり方で、新たな冷戦において国の忠誠心をプーチンの側に公然と固定しようとする企てと見なされている。
「公然の」というのは、イヴァニシヴィリがパトロンの与党「ジョージアの夢」はこれまで、表向きにはロシア側にも欧米側にもつかない「中立」路線のふりをして、かろうじて生き延びてきたからだ。ジョージアの夢は、ウクライナのヴォロディミル・ゼレンスキーの議会演説を拒否した政党である。
ジョージアの夢が率いる政権にとって問題は、ジョージア国民の大半がウクライナに深い同情を寄せていることだ。それは言うまでもなく、両国ともロシアに侵略されているからである。
ジョージアの人々にとって、外国の代理人法案は一線を越えるものなのだ。彼らはジョージアがベラルーシのような国になることを望んでいない。だが、イヴァニシヴィリや手下の政治家たちが最近相次いで行ったけばけばしい反欧米演説は、彼らがこの国をどの方向に導きたいかをはっきり示している。