欧州

2024.05.14 10:30

ジョージアは「第2のベラルーシ」になるのか 反政権デモ、国の岐路に

ジョージアの首都トビリシの議会前で2024年5月12日、政権が成立をめざす「外国の代理人」法案に抗議するデモ参加者(Nicolo Vincenzo Malvestuto/Getty Images)

ジョージアが自国版の「マイダン・モーメント」を迎えていることに、世界の多くの人は気づいているだろう。そうでない人も近く気づくことになるはずだ。そう、ウクライナで2014年に起きた「マイダン革命」のような瞬間が、ジョージアで今まさに起こりつつあるのだ。
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ウクライナのマイダン革命では、ヴィクトル・ヤヌコーヴィチ大統領に対する抗議デモが膨れ上がり、収束のめどが立たなくなっていたところ、ヤヌコーヴィチがデモ隊に対して殺傷力のある武器を使うことを選んだために、失脚に追い込まれた。

親ロシア派はマイダン革命をクーデタと決めつけたがるが、それはむしろ、一種のクーデタにウクライナの民衆が対抗したものだった。ヤヌコーヴィチはプーチンからの圧力を受けて、自由貿易協定(FTA)を含む欧州連合(EU)との連合協定を拒否し、それをロシア寄りの内容のものに置き換えようとしていた。

これとまったく同じ道をジョージアで歩んでいるのがイヴァニシヴィリだ。マイダンとの類似点はそれにとどまらない。彼の党は最近、デモを抑え込むためにより暴力的な手段を行使することも辞さないと騒ぎ立てている。すでに多くのデモ参加者を手荒に扱った政権側は、野党や親欧米派の指導者を露骨に標的にし、政府の息のかかったごろつきを送り込んで暴行させている。新たなマイダン革命まであと一歩のところまで来ている。
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こうした行為をはたらいても処罰されないという例は、プーチンを手本にしてロシア圏や世界に広がっている。西側諸国はそれを許してしまっている。2008年、プーチンはジョージアに侵攻した。ジョージアのバラ革命の英雄で、非常に親欧米派だったミヘイル・サーカシヴィリ大統領を失脚させ、体制転換を強要するためだ。この試みは、少なくとも短期的には失敗した。

だが、西側の手ぬるい反応はプーチンをつけあがらせ、彼はその後、自らの軍隊をクリミア、ドンバス、シリア、そしてキーウに差し向けた。サーカシヴィリは米国のジョージ・W・ブッシュ大統領の大のお気に入りだった。ブッシュは2005年、トビリシ中心部の広場で友好のダンスを踊ったくらいだ。
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翻訳・編集=江戸伸禎

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