欧州

2024.05.14 10:30

ジョージアは「第2のベラルーシ」になるのか 反政権デモ、国の岐路に

そのくせ、ジョージアに侵攻したロシアをブッシュはほとんど罰さず、制裁を科さなかった。後任のバラク・オバマ大統領は誤った思い込みからロシアとの「リセット」を試みたあげく、任期後半になってようやく制裁を科した。ドイツのアンゲラ・メルケル首相は在任期間を通して、ロシアの熊をなだめるのに汲々としていた。

クレムリンはこれらのサインを読み取り、しかるべき行動をとった。サーカシヴィリは2021年10月以来、ジョージアで政治犯として収監されている。ロシアはなおジョージアの国土の20%を占領している。

北大西洋条約機構(NATO)もEUも、ジョージアの加盟を検討するという無意味な決議を何年か前に採択した。だがどちらの組織も、クレムリンのかつての従属国を再び従属国化されることから守ったり、そうした国の西側志向を尊重したりしようとしているようには見えなかった。イヴァニシヴィリはもちろん、ジョージアが外国の代理人法を制定すればEUなどへの加盟資格を自動的に失うことも知っている。

西側諸国は今こそ、こうしたすべてを変え、歴史的な過ちを正すために行動すべきだ。ジョージア国民自身のおかげで、その機会が生まれている。米国と欧州は今度こそ、彼らを支援するために具体的な措置を講じなくてはならない。西側の指導者たちは抗議デモとの連帯を公に宣言し、彼らの西側志向に希望を与えることが求められる。ワシントンはイヴァニシヴィリとその家族にただちに制裁を科すべきだ。

ジョージアでは10月に国政選挙が予定されている。政治家や有権者、メディアを買収するためにばらまいている巨額の資金を奪われれば、イヴァニシヴィリによる国の統治機構への支配力は緩むだろう。その金はロシアに由来するものだ。

さらに、暴力的な逮捕やゴム弾、放水銃などで平和的なデモを弾圧するのをやめさせるため、ジョージアの法執行機関にも制裁を加える必要がある。西側、なかでもEUが、反発を恐れて「挑発」や干渉を控えるのはもうたくさんだ。反発は「挑発」などなくても起こっているのだ。

forbes.com 原文

翻訳・編集=江戸伸禎

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