ヘルスケア

2024.05.07 13:15

 “医師が患者に感謝する” 医療×AI を加速〜アイリス沖山翔×IBM金子達哉


金子:「大学が変わりつつあるのは良いサインだと思っています。今は医学部の学生もデータサイエンスを学ぶ、コンピューターに関する勉強もするという流れができてきております。東京医科歯科大学と東京工業大学の合併も大きな流れの一つと捉えています。また、経営という意味でいうとアメリカではMD(メディカルドクター)の方が経営を主体に仕事をされていたり。

医療産業って少しいびつなんですよね。社会主義的な仕組みの中で、資本主義的な結果を求められる。ある大学病院では、15%が学費、85%が病院としての売り上げとなっているという様なお話も伺っていますが、、このポートフォリオを変えていく必要に迫られており、大学発ベンチャーや、ヘルスデータのマネタイズなど新たな収益方法を生み出すための相談を受けることが増えてきています。

日本におけるヘルスケアデータの利用方法などのルール整備は待ったなしの現状であり、メガバンクが大きな病院に投資をして将来的なPHR(Personal Health Record 個人の医療・介護・健康データ)基盤を狙うような投資も始まっています。」

沖山:「今回取材を受けた理由にもつながるのですが、もっと医師と医師以外、たとえばビジネスパーソンや行政との対話が活性化することは医療にとって、とても大事だと思っています。顧問やアドバイザーとして医師を招いて月に1.2時間話を聞くという企業は多いかもしれませんが、メンバーとして同じ目線で動いている医師は企業の中には少ない。もっと普通に転職して流動性が高まるべきだと思っています。そうでないと、医療に本当に大切なことが何なのかを、企業側がいつまでも理解できない。もちろん医師のマインドセットの変革も必要だと思います。臨床の現場を離れるのは医師としていかがなものか、と考える医師も多いと思うのですが、産業界を通じて社会との接点を実現することは医療の発展という価値にもつながる ので、医療業界と産業界を行ったり来たりする人材が増えてくることにより医療×テクノロジーの領域が広まっていくと考えております。」

今回の取材を通して医師のマインドセット(プロフェッショナルオートノミー)を学び、データドリブン医療における医師と患者の関係性(医師と患者が協働して未来の医療を発展させる)の居心地の良さを夢見ることができた。この夢を実現させるためには沖山氏のような医師の言葉をより多く拾っていくことが大事であることを痛感した。ビジネスパーソンと医師が交わる社会のためにも、記事を書ける人間として医師の声を拾い続ける必要性を実感したとも言える。ぜひ読んでくださっている方も、どうしたら医師と産業界を繋げていけるか? 自ら行動できる領域があれば歩み出してほしい。医師と患者のより良い関係を築く未来を一緒に作っていければ幸いだ。

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