北米

2024.05.02 11:30

「米TikTok禁止法の悪夢」は始まったばかり、実行不可能との見方も

「TikTokから米国の部分だけを取り除いて誰かに売る方法はない」とガーステルは述べている。「中国政府もTikTokのアルゴリズム、つまりこのアプリをわずか2年で世界で最も人気のあるアプリに押し上げた原動力を、中国以外の新しい所有者が持つことを決して許さないだろう。この売却が経済的に理にかなった世界など存在しないし、アルゴリズムを持たないTikTokを購入する米国人もいないだろう」と彼は指摘した。

「TikTokの価値を高めているアルゴリズムは、非売品なのだ」と彼は付け加えた。

さらにいうと、TikTokの禁止が、米国の指導者たちが望む結果につながるかについても、疑問が生じている。フォーブスは、以前の記事で、インド政府が2020年にTikTokを禁止してから数年後、バイトダンスは、かつてこのアプリを利用していた1億5000万人のインド国民に関する機密データに、依然として広くアクセスしていたことを報じていた。

一方、TikTokはすでに、その膨大なユーザーベースを活用して禁止に対抗しており、#tiktokban、#savetiktok、#keeptiktokなどのハッシュタグを使った数百万件の投稿がアプリ上に渦巻き、ユーザーは議員を非難し、バイデンに投票しないと宣言した。TikTokのベッカーマンは社内メモの中で、クリエイターの支援や、議員への呼びかけの重要性を強調した。

また一部のクリエイターたちは、バイデン大統領の選挙スタッフが大統領が法案に署名した後も、TikTokの利用を継続し、バイデン大統領の支援をクリエイターたちに呼びかけているのは、偽善に見えると指摘している。

「ジョー・バイデンはTikTokのアプリを禁止する法案に署名したのに、そのアプリを使って選挙の票を確保しようとするのか?」とローレン・アシュリー・ベックというクリエイターは動画の中で語った。「あなたの負けだ」と彼は宣言した。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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