「学校を卒業してすぐに社会福祉施設に入所しました。入所して良かったことは、友だちもできるし、恋人だってできることでした」
この当事者は、支援学校を卒業してすぐに施設に入所して、そこで「自分でできることはできるようになる」という訓練を重ねた。そして、そこで知り合った人と結婚する。
夫婦で生活していたときは、できることを2人で分担して生活をしており、その頃はできることの範囲は現在よりも広く、実家の家業の手伝いなどをして収入も得ていたという。
その後、夫が亡くなり、元の家族と生活をされていた時期もあった。家族仲はよく、納得したうえで共同生活をしながらヘルパー利用をしていたが、家族以外の人が家に出入りすることに対しては精神的なハードルがあったという。
ヘルパーを利用する当人にとってはあたり前の感覚だったのだが、家族や同居者からするとそうではなかったりして、共同生活のなかで家族と目線合わせをするのが段々と難儀に感じるようになっていったという。当事者の人は次のように語る。
「障がいのレベルにもよるとは思いますが、18歳になったら一度家を出るのがいいと思います。自分のことはある程度自分でやれると親や家族にも見せておくことも重要です。
本人も保護者も同じように年をとっていくのですが、親はいつまでも子どもを子どもだと思っているから、ずっと心配している。なので、自分でやれるということを早い時期に見せておけば、その心配も少しは減るように思います」
いまは複数の訪問介護事業所などと契約をしていて、基本的には自分でケアプランを立てている。気に入った家で1人暮らしも可能になっているという。
この当事者の話からは、「自立する」ということに対しての複数のヒントを教えてもらったような気がした。