河合:「アートフェスは日本の各地域で行われるようになりましたが、地域では、アートフェスを受け入れてくれる人もいれば、拒絶する人もいます。また、小さい集落にいる外の人と議論をする機会が少なくどんどん閉じていってしまいます。世界にはもっといろんな人がいて、いろんな考えがあるというのをアーティストの力を使い、伝えていく必要があると感じています。」
![制作途中の河合恵里氏 (c)NCL](https://images.forbesjapan.com/media/article/70420/images/editor/4140d43e3e97df43156610853688dc89a0f75d22.jpg?w=1200)
林:「私は、今まで地域に関わってなかった人物や組織と地域をつなげる媒介者として活動しています。現在の傾向としては、地域は内方向に向かっていく閉鎖傾向が強いので、そのような地域に「違和感」や「ありえない」を具体的な風景として起こしていく、刻んでいくために当ワークショップやアートが効果的ではないかと考えています。具体的にはパブリック空間に今回ワークショップで生み出した作品を展示するということです。一回限りではなく数回重ねていくことで「ありえない」ことや「違和感」を地域が受け入れていき、結果として多様な意見、外部の意見を取り入れていき、地域の可能性を引き出すことにつながるのではないかと考えています。」
![2024年3月 SIL Art Thinking Improbable を主催した林篤志氏 (c)NCL](https://images.forbesjapan.com/media/article/70420/images/editor/d4e5161194f213869a6b5fcf806f90b06ab50db8.jpg?w=1200)
村上:「今思うと私達は既に「ありえない」と言われるものを奄美大島で行っているのもかもしれない。それは、飲食店で、地元の主婦が島の家庭料理を1,500円で提供したり、週休二日で営業したり、これまでの地域の常識ではなかったものです。始めた時には、それではうまくいかないのではないかと心配する声があったのですが、「ありえない」を受け入れるマインドで物事をスタートさせなければ日本の各地域の現状は突破できないと感じています。
今回、ワークショップで「ありえない」を生み出す疑似体験、講師や来場者から批判される体験をしつつも、それでも表現にこだわったり、「ありえない」を生み出し続けることに地域でチャレンジしてきたこととの既視感がありました。また、自分の生まれ故郷や好きな地域がある人に「アートというノンバーバルに表現する」手法で関係者と共通認識を作る練習の場として得られるものがあるのかな、と。また、ワークショップの成果物を展示して、鑑賞者に伝わるまで粘り強くこだわり続けるしつこさも大事だと思っています。執念深く自分の作品にこだわるアーティストのように、粘り強くこだわり続けることでしか変えられないものがあるように感じました。」
![初日のモンスターを生み出すプロトタイププロセス中の村上裕希氏(左) (c)NCL](https://images.forbesjapan.com/media/article/70420/images/editor/9df77ef4240b872a01407834d319e97592879de3.jpg?w=1200)