アート

2024.04.19 13:15

「ありえない」を生み出し、地球・超AIと共存する

そもそも何故アート思考のワークショップに興味を持ったのか?

平山:「奈良市役所職員 / 公務員として、私の仕事は抽象度高いものを具現化していくのが仕事で、抽象度が高い話を住民の方に理解してもらい社会実装するということを林篤志さんたちと実施している中で声がけいただいた。」

奈良市役所 平山裕也氏チームはツボの中にレコーダーを仕込み選挙演説を模した音声を流す作品を展示(c)NCL

奈良市役所 平山裕也氏チームはツボの中にレコーダーを仕込み選挙演説を模した音声を流す作品を展示(c)NCL

地域住民それぞれの多様な意見を集めていると、意見を汲み取れば汲み取るほど抽象度が高くなる。それを具体として表すためにはアートという手法が役立つのではないか?と考えたのはparamitaの高瀬俊明氏だ。高瀬氏が今回「ありえない」アート思考ワークショップを地域活性化の現場の方々に対して実施しようと発起した張本人だ。高瀬氏と今回の主催である林篤志氏は新潟県長岡市の山古志地域の関係人口を増やす取り組みをNishikigoi NFTを発行し実現したクリプトヴィレッジ発案者でもある。高瀬氏は日本各地の地域の価値向上を行う活動をしている中で、地域住民が自ら主体的にアウトプットを行う「ありえない」アート思考ワークショップに可能性を感じたという。では、実際に参加してみてどのような感想を持ったのか? 

高瀬:「チームで短時間で作品を作っていくプレッシャーの中、忖度抜きでお互いの意見を率直に話していかないと、作品ができないことを実感した。短時間でアウトプットを出すためのプロセスは刺激的だった。」

高瀬俊明氏チームは選挙のあり方を疑う「民主主義のこれから」をテーマに作品を展示

高瀬俊明氏チームは選挙のあり方を疑う「民主主義のこれから」をテーマに作品を展示

日本の良さでもあるのだが「忖度」は物事の進行を時に遅らせる。少子高齢化に伴う過疎化や後継者不足など待ったなしで取り組んでいくべき課題が多い地域において、アジャイルに行動するためのきっかけとしても当ワークショップは作用する。ワークショップ期間中はプレッシャーの連続なのだ。
東日本大震災の復興を担うリボーン・アートフェスティバル事務局を勤めた経験も持つparamita河合恵里氏はワークショップのプロセスの緊張感と、今後の可能性を以下のように語る。

河合:「ワークショップのプロセス初期に、コラージュ手法を使って自分たちの考えを表すと言うのがあるのですが、インストラクターにコテンパンにダメ出しされて……普段なかなか全否定されることはないので、その衝撃は印象に残っています。ですが、よくよく考えてみるとアーティストが作ったものは常に美術評論家や鑑賞者から批評に晒されています。”批評”と”批判”を区別しないといけないと思いました。人格の否定ではなく、良いものを作り上げるためには批評も受け入れていくのが大事だと改めて感じました。」
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