諸岡:そうですね。プロダクトだけをピボットしてもダメだと思い、自分自身を見直して、変なプライドをもつのではなく、みんなに助けを求めて、なりふり構わずやるというマインドに変えました。会社のミッションやビジョンも刷新して発信していった。ジェームズや澤山さんにも、プレスリリースのたびに「必ずSNSでリツイートしてくれ」とお願いして。プロダクトについては、過去3年間で学んだことを生かして今の「カミナシ」としてつくり直し、少しずつ成果が出るようになりました。
ライニー:21年3月のシリーズAのタイミングでは、売り上げはまだ大きくなかったけれど、顧客にヒアリングをしてみるとPMF(プロダクト・マーケット・フィット)の感触があって、リード投資をしました。そこからは期待通りの進展です。
諸岡:これまで僕らはひとつのプロダクトで成長をしてきましたが、現場仕事の課題はまだまだ残されていて、今後はマルチプロダクト展開を進めていきます。ホワイトカラーでは、いろんな会社のSaaSを導入するのが当たり前ですが、人の入れ替わりが激しく、習熟の手間もかかる現場からするとそれは現実的でない。ひとつの会社が必要な機能をオールインワンで提供してくれて、しかもそれなりに安価でないと、絶対にDXは進まないんです。
ライニー:カミナシはノンデスクワーカーのインフラになると思いますし、ユニコーン以上の規模になると確信しています。僕がキャピタリストとしてすごくラッキーだったのは、キャリアの早いタイミングでSmartHRのような会社に投資できて、その成長を社外取締役として詳しく見てきたこと。その学びを生かしてフルコミットしていきます。
ジェームズ・ライニー◎Coral Capital創業パートナーCEO。JPモルガン、現Coincheckの共同創業者兼CEO、DeNAの投資担当を経て、2015年より500 Startups Japan 代表兼マネージングパートナー。19年より現職。
もろおか・ひろと◎カミナシ代表取締役CEO。慶應義塾大学経済学部卒業後、リクルートスタッフィングを経て12年、家業であるワールドエンタプライズに入社し、LCCの予約センターの立ち上げなどに携わる。16年12月カミナシ創業。