この問題はすでに争点となっている。米国のインフレ抑制法(IRA)に組み込まれたグリーンエネルギー製品への補助金をめぐり、中国は世界貿易機関(WTO)に提訴した。イエレンは中国の訴えに対する一種の反撃として、グリーンエネルギー製品の生産で世界を凌駕しようという野心を自制するよう求め、さもなければ中国製の電気自動車(EV)やバッテリー、その他のEV部品への関税を引き上げることをちらつかせた。中国政府がイエレンの要求に応じるとは思えず、関税が引き上げられる可能性は高い。
バイデン政権の中国政策はここ数年で大きく変わった。バイデンは大統領就任時、前任者が中国からの輸入品に課した懲罰的な関税に批判的だった。イエレンはこの関税により貿易が制限されることに特別な懸念を示した。だが比較的すぐにバイデン政権はトランプ関税を支持した。
この関税について、キャサリン・タイ米通商代表は特許や著作権の保護違反や、中国に進出する米国など外国の企業に現地パートナーを持ち、技術や企業秘密を共有することを求めていることなど、負担の大きい貿易慣行の一部を緩和するよう中国に圧力をかける最善の方法だと説明した。
この政策転換以来、米国は中国への圧力を強めてきた。中国がWTOに提訴したEV補助金をインフレ抑制法に盛り込んだ。また、先端半導体の中国への販売を規制し、米国企業の中国の技術への投資を禁止した。そして今、トランプ政権が2018年と19年に導入した関税に加えて、今度はEVと関連製品に追加関税を課すことをちらつかせている。同時に米国議会は、TikTokkの米国事業を売却しなければ、米国で利用禁止にする法案を検討している。