世界的な肥満率の上昇は、医療分野が直面する最も困難な課題の1つだ。世界肥満連合(WOF)が最近発表した報告によると、2035年までに、世界人口の半数以上(約45億人)が肥満になるという。
こうした増加傾向は、決して驚くべきことではない。マクロ的に見れば、肥満の割合は100年近く前から増加している。進化する労働条件、平均的な人間が肉体労働をする時間、座り作業が増える職場の性質を考慮すれば、これは当然とも言える。
世界の諸国が現代化を遂げるなかで、さまざまな産業の効率が上がり、より多くのサービスや商品が、大衆に対して大規模に提供されるようになってきた。しかし、こうした取り組みのなかで、品質はしばしば後回しにされることになる。
例えば、サトウキビから砂糖を作るのではなく、合成された、あるいはより加工度の高い代替品に置き換わる傾向が強まっているが、こうした代替品は、肥満や健康悪化の原因になっている可能性があることが、さまざまな研究で判明している。また、保存性を高めて大量生産を可能にするために開発された食品添加物や保存料も、肥満や慢性疾患の増加につながっているという研究結果もある。
さらに、食生活に関する最大の問題の1つは、保存料などが使われていない、オーガニックな「ホールフード(自然食品)」の価格が高騰していることだ。これは、一般消費者には、保存料や添加物の入っていない食品は手の届かないものであることを意味する。
以上述べてきたようなことが、なぜ重要なのだろうか? それは、個人の健康が重視されなくなると、高血圧や糖尿病、関節疾患、呼吸器疾患といった慢性疾患が大幅に増加する可能性があるからだ。
幸いなことに、このテーマに対する意識は高まりつつある。この分野での学術的な研究は進んでおり、こうした運動に注がれる政治的なリソースもかなり大きなものになっている。さらに医療・製薬業界も、治療薬開発に数十億ドルを投じて、この問題に取り組もうとしている。
一般の人々も、この問題に取り組み、持続可能な変化を生み出す必要があることをおおむね受け入れている。社会は、増大するこの危機を認識し回避するために、迅速に動かなければならない。
(forbes.com 原文)