電子タバコで心不全リスクが19%上昇、肺に加え心臓への悪影響も解明

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ニコチン入りの電子タバコは心不全のリスクを高める可能性があることが、新たな研究でわかった。これまでにも、電子タバコによる心臓病のリスクの増加、血圧や心拍数の悪化、そして肺に関連するいくつかの健康問題を引き起こす可能性があることが指摘されていた。

米国心臓病学会(ACC)が4月2日に発表した新たな研究によると、ニコチンを含む電子タバコを人生のいずれかの時点で使用した人は、使用したことがない人に比べて心不全を発症する可能性が19%高かった。また、電子タバコによる心臓のリスクの増加は、心筋が硬くなり、各拍動の間に血液が適切に満たされなくなる駆出率維持型心不全(HFpEF)と呼ばれる心不全のタイプでより顕著であることが分かった。

この研究は、米国立衛生研究所(NIH)の健康記録を用いて、45カ月間にわたり17万5667人(うち60%以上が女性、平均年齢52歳)を追跡したものだ。その結果、被験者のうち3242人が45カ月の間に心不全を発症し、年齢や性別、喫煙の有無など他の要因が影響したことを示唆する証拠は認められなかった。

電子タバコの歴史はまだ浅く、心臓への長期的な影響は広く研究されていないが、2022年の研究では、電子タバコの長期使用は体内の血管の機能を著しく損ない、心臓病のリスクを高める可能性があることが示唆された。加えて、米国心臓協会(AHA)による2022年の研究によると、電子タバコを使用している人は、使用していない人に比べて、心臓圧や心拍、血管の収縮運動などに問題が見受けられ、運動テストの成績も悪かった。

心臓を対象にした研究とは異なり、電子タバコが肺に与える影響に関する研究は進んでいる。米国肺協会(ALA)によると、電子タバコは肺疾患を引き起こす可能性があるホルムアルデヒドやアクロレイン、アセトアルデヒドのような化学物質を生成する。また、多くの電子タバコはジアセチルという化学物質で味付けされているが、このジアセチルが「ポップコーン肺(正式名称は閉塞性細気管支炎)」と呼ばれる疾患を引き起こす可能性があることも判明している。ポップコーン肺は、咳、喘鳴、息切れ、呼吸不全を引き起こす肺の病気だ。

米国疾病予防管理センター(CDC)のデータによると、2020年2月までに2800人以上の電子タバコ使用者がEVALI(電子タバコや加熱式タバコの使用に伴う肺障害)と呼ばれる症状で入院し、そのうち68人が死亡した。EVALIは、息切れや咳、発熱、悪寒、頭痛、急速な心拍、胸痛、嘔吐や下痢を引き起こす可能性がある。

forbes.com 原文

編集=上田裕資

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